本文へ移動

部会長挨拶

「エネルギー学」部会 部会長挨拶

岡島 敬一(筑波大学 システム情報系 教授)

 2021年より秋澤前部会長より「エネルギー学」部会長を引き継ぎました。現在、わが国を含む世界は、新型コロナウィルス感染症拡大の難局に直面し、依然としてその終息は不透明な状況が続いています。このCOVID-19により“新しい社会様式”への転換を迫られ、エネルギーを取り巻く情勢も大きくうねり、エネルギーに対する考え方、エネルギーに対する行動、などすべてにおいて変革が求められてきています。私たちにとっても大きな時代の変化に適応することが肝要と考えます。

 「エネルギー学」部会は2001年に設立された前身のエネルギー学研究会を経て2007年に発足し、研究会設立時からはちょうど20年となります。当部会は他の部会と異なり、その名称にカギ括弧(「」)がついていることに特徴があります。趣旨にも記されていますが「エネルギー学」とは“エネルギー問題を総合的視点で捉え、工学や理学などの自然科学から、哲学・文化・政治・経済等の人文科学、社会科学などの多くの分野を包括し、俯瞰する新しい学術”です。エネルギーは社会活動・生活にとって不可欠なものであり、理学・工学という理系的な分析・研究だけではなく,人文・社会科学的な捉え方も必要になります。
 本部会は、理系と文系の学問を統合した「エネルギー学」の形成を目指し、学融合分科会・エネルギー教育分科会・エネルギー政策分科会の3つの分科会から構成され活動しています。多くの学問分野の方々が集いエネルギーに関連する諸問題への議論・意見交換を進める場が必要であり、それこそが”新しい社会様式”へのエネルギーへの理解を深め、持続可能な社会構築へ繋がると考えます。世界的には国連によってSDGs(持続可能な開発目標)が定められ,国内に目を向ければ、2050年カーボンニュートラルの実現が政府方針として発表されています。一つの専門分野に留まらない広範囲かつ俯瞰的な視点から「エネルギー学」として捉えることが今後さらに重要といえます。
 混沌な世界情勢を受け、VUCAというキーワードが近年注目されています。VUCA(ブーカ)とはVolatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つの単語の頭文字です。あらゆる環境が目まぐるしく変化し予測できない状態を示した略語で、2016年のダボス会議(世界経済フォーラム)で使われるなどして注目されるようになった言葉です。コロナ禍以前から登場している言葉ですが、まさに現在は先行きが不透明で将来の予測が困難な時代です。このVUCA時代に適切に対応し、2050年カーボンニュートラルの実現に向け議論を一層進めることが強く求められていると感じております。
 是非とも大勢の皆様に積極的に本部会の活動に参加して頂き、学会内外との多様な交流を通じて本部会の活動を盛り立てていきたいと思います。皆様のご協力ご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

歴代部会長、沿革・設立までの経緯

沿革・歴代部会長

沿革・歴代部会長
2001年日本学術会議の「エネルギー学」に関する最終検討結果を踏まえ、
 「エネルギー学」研究会が発足
 2007年、「エネルギー学」部会設立

歴代部会長[2022年現在の所属]
 初代会長(2007年~2010年):山地憲治 [地球環境産業技術研究機構(RITE)理事長・研究所長,
                                       東京大学名誉教授]
 2代目会長(2011年~2013年):内山洋司 [日本エレクトロヒートセンター会長,筑波大学名誉教授] 
 3代目会長(2014年~2016年):坂西欣也 [産業技術総合研究所 エネルギー・環境領域長補佐] 
 4代目会長(2017年~2021年):秋澤 淳 [東京農工大学 大学院工学研究院 教授] 
 5代目会長(2021年~現在):岡島敬一 [筑波大学 システム情報系 教授]
 



設立までの経緯

部会設立までの経緯
 1997年に片岡会長は、今後当会が取り組むべき分野として「エネルギー学」を提言されました。それ以来「エネルギー学」は重要課題として会長に引き継がれ、2000年5月に審議を終了した日本学術会議の 「エネルギー学」に関する最終検討結果報告を受けて、当学会は「エネルギー学」に関連する具体的な活動に着手しました。
 2001年6月に開催された定例理事会にて「エネルギー学研究会」の発足が承認され、 本格的な活動をスタートすることになりました。
 そして、これまでの研究会活動の成果として、2006年11月の定例理事会にて「エネルギー学」部会の発足が承認されました。
TOPへ戻る