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バイオマス関連行事報告

第16回バイオマス部会・研究会合同交流会

2016-12-02
2016年12月2日、鹿児島の鹿児島大学郡元キャンパスにおいて第16回バイオマス部会・研究会合同交流会「バイオマス利用の現状と課題、新技術」が開催されました。講演内容を以下に紹介させていただきます。/matsumura
 
「バイオマスマテリアル利用とエネルギー利用の最適配分」
島根大学生物資源学部教授 小池浩一郎
1本の木の部分で、単価の高いのは幹、次いでパルプ、エネルギー用の末木・枝条の順。幹の利用が衰退している中でエネルギーだけ出てくるかは疑問。既存のシステムの隙間や、既往のシステムに付随するのがポイント。素材加工は海外で大規模高度化が進む。日本でも導入すれば良い。
 
「木質バイオマス燃料供給の課題」
森林総合研究所林業システム研究室長 久保山裕史
現在のバイオ燃料は熱も電気も競争力なし。用材と一緒に持ち出すなどの対応が必要。よって用材に競争力を持たせることが必要。そのためには、用材と森林製品の連消した発展が有効と。FITの導入にもかかわらず、現在のところ想定より安い木材価格となっている。一方、FITに賦課金は山元までは降りてきていない。
 
「鹿児島におけるバイオマス利用の特徴」
鹿児島大学農学部教授 寺岡行雄
鹿児島でのバイオマス利用について紹介。100万m3の伐採量はあるが、40万m3は林地残材で利用されていない。家畜糞尿も600万t/年存在。FITで必要な分が増えているのは素材生産量が増しているためか。鹿児島大学でも木質チップ蒸気ボイラを導入。
 
「薩摩川内市竹バイオマス産業都市構想の取り組みについて」
薩摩川内市新エネルギー対策課対策監 久保信治
薩摩川内のバイオマス産業都市構想の紹介。山側では担い手不足、下流では竹製品が売れていない。竹に着目し、素材利用を進める意味でセルロースナノファイバーを視野に活動。
 
「バイオマスの水素利用」
鹿児島大学理工学研究科教授 平田好洋
バイオマスをガス化し、さらに改質することによって水素を得る検討。Niカソード、Ruアノード、多孔質電解質を有する電気化学セルを用い、CH4とCO2からH2とCOを得ると。また、COは電極反応で2COがCとO2になる反応を進行させると。
 
最後に、総合討論が行われました。座長は久保山裕史様でした。FITが森林に及ぼしている影響などについて議論が行われました。
なお、3日には地域のバイオマス施設の見学が組まれています。残念ながら松村はアジアバイオマス科学会議の準備のため欠席で広島に戻りました。
 
今回の幹事団体は木質バイオマス利用研究会でした。会長の小池様が交代され、時期会長は寺岡様、事務局長は久保山様の体制になりました。寺岡様を始め、ご協力いただきました皆様、ありがとうございました。来年度は、化学工学会エネルギー部会バイオマス分科会が担当です。
 
以上です。
 
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第16回バイオマス部会・研究会合同交流会では、開催日の翌日(土曜日)に、鹿児島県内の国有林での原木集材現場、中越パルプ川内工場内にある23,000kWの木質バイオマス発電所、さらに霧島市の前田産業のチップ工場、薪製造現場等の視察ツアーに参加をさせていただきました。いずれも非常に印象に残る現場視察でありました。また、製紙会社が行うFITバイオマス発電の現場を初めて見させていただきましたが、そもそも製紙会社は原料調達ルートを確保しておりますし、C材、D材までを全木で集めることにより、従来よりも、相当に多くの資源を調達できる状況にあることを理解いたしました。九州では、木質バイオマス発電所が相当数立ち上げられていますが、少なくとも、製紙会社や大手木材産業会社が経営する木質バイオマス発電所は十分にやっていける、もしかすると、紙を作るよりも安定な収益が得られるのではないかと思うほどでした。少なくとも、チップ用材の価格が値上がりしたことは、現場にとっては、経済的にはプラスの効果を与えているようにも見えました。ただし、今後の持続性がどこまで保障されているのか、また、他産業への影響、特に価格的にも十分に競合範囲にあるB材丸太の取り合いになっているのではないかという可能性は十分にあると思っています。/samejima

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