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我が国における粗鋼生産量は,これまで高度経済成長期で内需が急激に高ま った1973年のピーク時の値を,2007年のアジア向けの需要の急激な伸びにより,1億2,020万トンという史上最高値で上回り,その影響で翌年2008年度の原料
炭の価格が前年度比で約3倍の300ドル以上の価格となった。しかし,その年の秋の世界的な金融危機の影響を受けて粗鋼生産量は大きく減少し,2009年度
には,1999年度以来,10年ぶりに1億トンを割り込む結果となった。その後 2009年11月期に前年同月比で増加を記録し,ようやく改善の兆しが見えてきた。また,中長期的には,中国,インドなどのアジアにおける需要の更なる伸びが予想されており,世界的に見ても需要が増加していくと思われる。
近年の粗鋼生産量の急激な変動につれて,今後必要となるコークスの量も予想し難い面があるが,1億トンの粗鋼を生産するためには,0.5億トンのコークスが必要となり,原料である石炭は約0.6億トンが必要となることから,その全量を輸入に依存している我が国にとっては,その原料の安定確保が重要になってくる。一方,石炭は埋蔵量が豊富な資源という認識があるが,コークス
用に使用できる原料炭はその約1割と言われており,今後は原料炭以外の低品 位炭,および他の資源からコークスを製造する技術が必要であると予想される。さらに,鉄鋼業で消費されるエネルギーは,国内最終エネルギー消費の約15%
に達し,それに伴い国内で排出する二酸化炭素量も全体の約14%を占めている。こうした資源制約,および環境制約に対応するため,2008年5月から次世代コークス製造技術であるSCOPE21によるコークス製造が開始し,国内の多くのコークス炉が老朽化しつつある現状から,新たな新型炉への移行時期を迎えて
いる。
本冊子「コークス・ノート」は,1955年に燃料協会(現日本エネルギー学会)から初版が発行され,その後改訂を重ねてきた。これまでの我が国の高度経済成長期からバブル期,そして近年の金融危機に至るまで,原料調達からコークスの製造,および利用に関する世界最先端の日本のコークス関連技術の進歩にこの冊子が利用されてきた。前刊は2004年に当時日本エネルギー学会コークス工学研究部会長でおられた古牧育男氏のもとで発行され,コークスに広く関わる多くの技術者,営業関係者から多大なる反響をいただき,その後新しい統計値を入れた改訂版の発行を期待する声が多く寄せられている。
そうした背景から,この度の改訂では,前刊2004年版の発行で多大なるご尽力をいただいた石原武彦氏より,冊子内の出典およびデータ探索に関する詳細なご教示を受け,コークス工学研究部会から改訂版を発行するに至ったものである。一部データの出典先が見つからず,これまでのデータ書式と変更した部分もあるが,読者が必要とする情報を鑑みて修正させていただいた。
本冊子の改訂版の発行にあたり,多大なる作業とご執筆をいただいた企業関 係研究者,技術者,及び学会事務局諸氏に,心より感謝を申し上げる。
2010年4月
社団法人日本エネルギー学会
コークス工学研究部会長 鷹觜利公
(独)産業技術総合研究所
エネルギー技術研究部門 研究グループ長

奥 付
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