今月のコラム
 

江戸時代へ戻る?

 

 今年は春に、税制度により一時的にガソリンが安くなり、しばらくして税が元に戻ってガソリンが高くなったら、追い討ちをかけて、今度は投機筋の投機の対象となって原油が1バーレル130ドルという値段にまで高騰した。高値は長く続かず、客離れや金融破たんの影響で今度は一転して安価になった。かように忙しい一年であり、われわれには、石油に頼る現代文明のことを強く反省する好機となった。

 

 筆者は、あるシンポジウムの特別講演で、「江戸文化研究家」石川英輔さんのお話を聴く機会があった。氏は早くから独自に江戸文化を研究されたが、いまや江戸ブームで大変お忙しいらしい。氏は今回は自分の持つ広大な情報の中から、江戸時代の、物質循環システムについて解説をされた。それは「し尿」を肥料として完全にリサイクルしたこと、江戸の市民が炭や薪を燃焼した後の灰も、灰を買う人が買い集め、川越の元締めのところへ回収して田畑の肥料にしたこと。稲わらも、わらじ、縄などに加工して再利用するほか残りは田んぼへ漉き込んで肥料としたことなどの江戸のリサイクルシステムの紹介であった。

 

 江戸時代は石油がなく、3000万人の人が食料・エネルギーを自給できた稀有な時代である。

将来、一般の人は石油が使えなくなる時代が来たら、江戸時代の生活の知恵はとても参考になるはずである。石油が完全になくなることはなく、原子力もあって、まったく江戸時代と同じ状況にはならないはずであるから、人間はうまく適応するのではないかと私も思うものである。

 

 今年は石油が容易には手に入らなくなる時代の近いことを予感させてくれた。われわれは、

徐々に、石油から離れるライフスタイルに移行して、新しい時代の生活に軟着陸することになるだろう。

(平成2012月)

(生活部会委員 荻須吉洋)

 

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