今月のコラム
 

 新緑の季節が足早に通り過ぎ、また、あの暑い夏が来ようとしている。特に東京の夏は年々暑さを増しているように感じるのは私だけだろうか? 地球温暖化にしては早すぎる、ヒートアイランド現象だというのが識者の一致した見解のようだ。しかし、地球温暖化は間違いなく進行中だ。

 

 京都議定書の発効でわが国の目標達成計画が政府によりまとめられた。 ところが、その後世論の盛り上がりは見られず、それどころか一件落着したかのような感すらある。やらねばならぬことが山ほどあるのにこれで大丈夫だろうか?そこで、夏を前にして、やや新鮮味にかけるきらいはあるが、二つの提案を再検討してみたい。

 

一つは「省エネルック」である。どうもこの名前が昔のオイルショック時の何となく野暮ったく、 節約我慢を強いられるようなイメージと重なってしばらくは表舞台にでることがなかったようだ。 ここに来てまさにイメージチェンジすべくその名も「クールビズ」となったそうだ。 解説を受けないととてもこれが省エネルックとはわからない。それが良いのだろう。

 

さて、もう5年くらい前のことだが、沖縄電力から社内研修会の講師を依頼され盛夏を直前の那覇に出かけた。 空港への出迎えの方は、私と同じ背広にネクタイ姿。 講演会場に着いて中に入るやなんと会場は色とりどりのアロハシャツで一杯。 私と出迎え下さった方二人だけがどぶネズミスタイル。 こうなると正装してきたつもりのこちらが、野暮な場違いな服装で浮き上がってしまうと言うことになるから不思議だ。

 

これが東京では全く逆になる、ここ数年夏は軽装で押し通しているのだが、会議、 それも省エネルギーを検討する審議会ですら、事務局はもちろん、参加の男性諸氏は背広にネクタイ。 浮き上がるのはここでも私になる。みんなが一斉に変えなければ結局効果はない。 今度は小泉首相自ら大号令をかけて下さるそうだ。 昔も確か首相の号令だったような気もするが、小泉さんのセンスに期待したい。 ここまでは男性からの視点。女性にとって、男性の どぶネズミルックにつきあわされるのだから 冷房の効いた室内では寒すぎてたまらないということになる。 サマースタイルとは別に、寒さしのぎの一枚が不可欠の常備品となる。なんと無駄なことだろうか。 今度こそ、女性代表として小池環境大臣の「サマービズ」の普及定着へ向けて、 女性陣から野暮な男性陣への強烈なメッセージを期待したいものだ。

 

 次に、「夏時間」についてはどうだろうか?これまでも何度も出ては消え、いささか色あせてきた感がしないでもない。 しかしこの問題にもう足かけ15年もおつきあいしている身となっては、そろそろ実現しても良いのではとボヤきたくもなる。 東京では朝は5時前からもう明るい日差しが差し込んでいる。 寝ているのはもったいないから時計をずらして明るい時間を増やそうというのが本来の目的。 明るい時間が増えるから照明用の電力消費が削減されるというのが世界中での 「夏時間(デイライトセイビング)」導入の目的だ。 もちろんわが国の場合、家庭での夏の冷房が増えるという増エネ要因もあるがこれを見込んでも原油換算で93万klの省エネが可能と推計した。 これは全国の家庭でテレビを2ヶ月間見るのに消費される量に匹敵する。何より明るい時間が夕方一時間増える。 若い人たちからこれを活かした新しいライフスタイルの提案を期待しているのだが。 

 

 

住環境計画研究所 所長 中上 英俊

読売新聞「論点」 平成17527日(金)掲載記事)

   
     

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