日本エネルギー学会 バイオマス部会
バイオマス部会長からのご挨拶
  堀尾 正靱
   
   東京農工大学名誉教授
   科学技術振興機構社会技術研究開発センター(領域総括)

 皆様こんにちは。2009年1月から、坂 志朗先生の後を受けてバイオマス部会の第4代部会長を拝命した堀尾です。

 私は、バイオマスにかかわること約10年ですが、その前は、石炭利用技術(流動層燃焼・流動層/噴流層ガス化)、廃棄物燃焼・ガス化、流動層造粒、離散粒子シミュレーションなどの研究を行っていました。すでに1990年代の初めに、私のヨーロッパの石炭研究の友人たちは、EUの方針転換により、それまでの装置を使ってバイオマスの燃焼やガス化の実験を始めていました。しかし、私には、バイオマスは、アルカリの問題を除けば、石炭よりもはるかにきれいであり、エネルギー利用としてあえて研究をする必要はそれほどないのではないかと思っていました。(石炭の場合でも、その複雑性に魅せられた液化研究が盛んでしたが、1973年以来のエネルギー危機を乗り切るためには、むしろ石炭の燃焼に関する研究が重要であったことはその後の経緯が示すとおりです。)

 バイオマス研究に参加する気になったのは、バイオマスの主力である木質系資源が、林野という形で国土の67%を覆う形で存在しているにもかかわらず、林業が危機に陥りつつあること、財政投融資に伴う林野庁の赤字が、一時は4兆円近くなっていること、などを知ってからです。ささやかながらバイオマスのエネルギー利用技術を介して、国土や、中山間地の人々のこれからの問題に寄与することができるのであれば、これまで、工場ならばほぼ何処にでも出かけることができた工学系の人間であっても、全国土を対象にし、国民と向き合えることになる、と感じたのです。

 2002年バイオマスニッポン総合戦略が出たとき、説明会や講演会には熱気がありました。そこでは、研究者の熱気に、地域活動をしている人やNPOの人々の持つ熱気が合流していました。バイオマス研究は、新しい地域づくりの話とつながっていたのです。私が感じていた、専門の閉塞感を打ち破る場としてのバイオマスという気分がそこには共有されているように思われました。

 日本エネルギー学会バイオマス部会も、そのような熱気の形成の中で2001年に設立され、分野横断と、専門家と市民が手を携える気風が伝統となっています。初代横山部会長、2代目山地部会長、3代目坂部会長のリーダーシップと、活動的で和気藹々とした若手役員の皆さんのご尽力により、バイオマス部会は500名を超える本学会最大の部会として、充実した活動を進めてきました。年次大会のバイオマスセッション、バイオマス夏の学校、バイオマス科学会議など一連の行事では、質問や議論も多く、部会としての出版活動もさかんです。

 さて、学術会議の「学術の動向」2009年1号でも議論されているように、科学研究においては、研究者の自由な興味に基づく「科学のための科学」を大切にしつつも、「社会のための科学」としての責務を果たしていかなければならないという課題があります。バイオマスニッポン総合戦略ももう6年以上になり、温暖化対策も、地域のエネルギー自立や林業の維持も、いよいよ正念場を迎えています。バイオマス部会にも、温暖化対策にかかわるエネルギー収支やCO2排出のLCA,あるいは経済性など、社会の課題と研究のあり方の関係を厳しく吟味しつつ、次の時代をリードしていくことが求められています。

 各種のセッションや、夏の学校、バイオマス科学会議、あるいは部会のホームページ、メ-リングリストなどの場を生かして、忌憚のない議論を積み重ね、活力のある楽しい研究環境を維持しつつ、国民的期待にこたえられるバイオマス研究を発展させていきたいと思います。皆様のご支援をいただければ幸いです。

2009年4月吉日


(部会長としての任期は2009年1月より開始)

第3代坂会長のご挨拶

第2代山地会長のご挨拶

初代横山部会長のご挨拶


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