日本エネルギー学会 バイオマス部会
バイオマス部会長からのご挨拶
  坂西 欣也
   
   (独)産業技術総合研究所
   バイオマス研究センター長

 2011年1月より堀尾正靱先生の後を受けてバイオマス部会の第5代部会長を拝命した坂西です。
まず、この場をお借りして、この度の東日本大震災に被災された会員及びご家族の皆様に、謹んで衷心よりお見舞い申し上げます。今回の大震災では、東北・北関東地域での大地震・大津波の被害に加えて、福島原子力発電所事故の影響が深刻な状況となっており、改めて人類が直面しているエネルギー環境問題におけるバイオマス、太陽光、風力等の自然エネルギー高度有効利用の重要性を痛感しております。特に、バイオマス部会メーリングリストでも活発に議論されておりますように、災害地で多量に放置されている廃材等のバイオマス資源をその場で高効率に利用できるシステムの構築が如何に喫緊の課題であるかを再認識させられました。今後夏に向けて東京を中心とした関東地域の電力不足による計画停電が予想される中、産学官民一丸となった節電・省エネへの取り組みは日本全国に波及しているものの、このような非常時にこそ、原子力や化石資源に依存し過ぎた現代文明のあり方を見直し、真に持続可能な地域分散再生可能エネルギー循環システムの構築を目指す好機と捉えるべきではないかと考えます。

 私は、これまで日本エネルギー学会の前身である燃料協会(主として九州大学)時代から、主として石炭液化やクリーンコール・コークス製造技術や重質油アップグレーディングに関する研究開発に携わっておりましたが、1999年に資源環境技術総合研究所へ移籍し、2001年の省庁再編時に産業技術総合研究所が再スタートしたのを契機に、初代バイオマス部会長であった横山伸也先生(東大名誉教授、現鳥取環境大学教授)のご指導の元、持続可能なバイオマスエネルギーの研究開発に転身致しました。2003年に産業技術総合研究所・中国センター(当時呉市)に設立された循環バイオマス研究ラボに参画し、2005年から現在のバイオマス研究センターにおいて、特に日本に豊富に存在しながら殆ど有効利用されていない林地残材や間伐材等の木質バイオマスから、硫酸等を用いない低環境負荷の前処理(水熱・メカノケミカル処理)技術・酵素糖化・エタノール発酵や高効率BTL(Biomass to Liquids)トータルシステム開発によるクリーンバイオ燃料の製造研究に注力しながら、国内外で持続可能で、かつ環境性・経済性に優れたバイオマス利用システムの評価技術の研究開発等を実施しております。

 今後のバイオマス利用の推進に向けて、昨年12月にバイオマス活用推進基本計画が閣議決定され、都道府県または市町村における「バイオマス活用の推進に関する計画」(10年間)の策定が目指されていますが、本年2月の総務省行政評価局による6省庁のバイオマス関連事業(214事業)「政策評価」において「バイオマス・ニッポン総合戦略」とバイオマス利活用に関する政策に従って実施された事業に対して厳しい査定がなされ、決して順風満帆とは言える状況ではありません。また、昨年の太陽光発電に加えて、今年度はバイオマス発電や風力発電等への固定買取制度の導入が検討されており、国内の木質バイオマス等の未利用資源の有効利用が一気に加速されることが期待される一方で、電力事業者等による木質バイオマス等の不当な収奪につながることも危惧されている状況です。

 日本エネルギー学会バイオマス部会では、前部会長の堀尾先生のリーダーシップにより、温暖化対策と地域のエネルギー自立や農林業の再興等に向けた指針が示され、温暖化対策に関するエネルギー収支や温室効果ガス排出削減のLCA・経済性評価、あるいは生物多様性、リスク管理等に基づいた社会受容性とバイオマス普及に向けた課題と研究のあり方の関係を厳しく吟味する部会活動を実践してきました。

 今後はさらに、部会員500名を超える日本エネルギー学会最大の部会として、他の関連部会や学会等とより密接に連携しながら、今年次大会のバイオマスセッション、バイオマス夏の学校、バイオマス科学会議等の一連の部会活動をより一層充実させると共に、部会としてのホームページ、メ-リングリスト等を活用して国内外のバイオマス関連研究者との国際的な議論の場を提供して行きたいと考えています。特に、アジア地域における持続可能なバイオマス利活用の方向性をテーマにしたバイオマス科学会議等での意見交換や人材交流を推進し、日本だけでなくアジア諸国や他の海外バイオマス研究者とのネットワーク構築や情報発信につなげたいとも希望しています。まだ未熟な部会長でありますので、部会の皆様の忌憚の無いご意見や叱咤激励を積極的に取り入れながら、今後のバイオマス部会のさらなる発展に精一杯尽力する所存です。

部会員の皆様の益々のご活躍を祈念しつつ、より一層のご指導・ご鞭撻をお願い申し上げて、部会長の挨拶とさせて戴きます。今後とも、宜しくお願い致します。


2011年4月吉日


(部会長としての任期は2011年1月より開始)


第4代堀尾会長のご挨拶

第3代坂会長のご挨拶

第2代山地会長のご挨拶

初代横山部会長のご挨拶


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