◆ バイオマス・アジアワークショップ2005◆◆◆HP→008-0501
[時、所] 2005.1/19〜21/国際会議場(東京、つくば)
[主催]文科省、農水省、産総研、国際農水研センター、農・生特定産研、農工研、食総研、森総研、東大、RITE、国際農協力・交協
[趣旨]バイオマス利活用に関るアジア諸国の行政・研究関係者+日本の産官学関係者による国際ワークショップ。 報告者=佐野(初日)、藤野(2日)、松村(3日)。追加情報提供者=大野(J.E.)
[プログラム]
☆1/19(同時通訳付き)/報告者=sano
10:〜挨拶/横山伸也、他4人
10:30〜基調講演
「バイオマス・ニッポンとアジア」小宮山宏(東大副学長)
省エネ、高効率化などにおいて現状値と理論値とを示し、その中間に各年の目標値を設定することで2030〜2050年までの展望を可能にする多くの提案を示した。
「バイオマス資源で新しい社会創り」藤村宏幸(国連大学)
化石時代からバイオマス時代へ。バイオマス新産業の例示、日本のバイオ資源ポテンシャル(森林、農業、都市ゴミなど).
11:30〜特別講演「アジアにおけるバイオマス利用,現状と課題」
「バイオマス開発利用の挑戦と機会」Saksit TRIDECH/タイ(科学技術省)
タイのエネルギー消費増加、化石消費増、再生可能エネルギーを8%以上にしたい。農産廃棄物(稲ワラ、サトウキビ滓など)80Mt/年に及ぶ。パーム空房・殻せんいは増大傾向。
「バイオマス利用開発」NGYUEN THIEN Thanh/ベトナム(科学技術省、MOST)
バイオマスr利用状況は90%が家庭燃料、2%が肥料用、0.5%がキノコ用。人口の75%が農民である。キノコ用は急増して2010年には10倍になる。バイオガスは拡大する。資源作物より食糧安保を優先する。
「バイオマス発電利用の現状と課題」Mazlina HASHIM/マレーシア(エネルギー産業の持続可能開発部)
圧倒的にパーム工場廃棄物(パームMillとPOME)が多い(稲やバガスの10倍以上)。
「バイオマス研究開発の現況」Evita Herawati LEGONO/インドネシア(石油ガス技術センター、LEMIGAS)
グリーンエナジーInitiativeの説明。再生可能エネルギー資源量は、水力>バイオマス>地熱の順。バイオマス利用方向は、発電・家庭燃料・BDFの3種である。2020年に5%のエネルギーシェアを。
・・・マレーシアと類似の気象条件なのに、なぜパーム産業は伸びないのか、不思議/sano.
・・・インドネシアは近年ココナツ油生産に再度力を入れていますが、パームも一大産業です。パーム油もパーム核油もマレーシアに次いで世界で2番目のTrade量です。ちなみにココ椰子油もフィリピンに次いで2位です/oono.
「バイオマス開発状況」Teresita M.BORRA/フィリピン(エネルギー省エネルギー利用管理局)、
再生可能エネルギーでは、地熱(東南アジアでトップ)、風力でもリード。今後はバイオマス、ソーラ、小水力にも注力。
ココヤシ、バガス、ワラなど。発電とエタノール、ヤシ油BDFなどを目指す。
・・・なぜパームより生産性の低いヤシ油にこだわるのか、わからない/sano.
・・・フィリピンがココナツ油BDFに力を入れているのは、これ(COME)がいわゆる植物油系BDF(パーム、大豆、菜種等)の中で品質に優位性があり魅力的だと考えているからかと思われます/oono.
「燃料エタノールプログラムの近況」LIU Dehua/中国(精華大)
石油は以前、輸出していたが今は輸入。ガソリン需要→増大、軽油需要はさらに急増。トウモロコシ等からのエタノール生産が始まっている。
・・・食糧自給が危なくなっているので主食資源からのエタノール生産拡大には問題があろう/sano.
15:30〜パネルディスカッション「アジアにおけるパートナシップ構築」コディネータ=野口明徳(JIRCAS)
パネラ:Gerard SARLOS/スイス、「バイオエタノール、持続可能な輸送燃料」
5%エタノールをブレンドしたガソリンの使用が始まっている。他の再生可能エネルギー(太陽、風力、地熱)は輸送燃料製造が困難で、バイオマスが最適な資源である。
Paritud BHANDHUBANYONG/タイ(科学技術省)、「バイオマス・アジア協力」
東南アジアのバイオマス資源と、北アジアの技術力の組合せに意義がある。化石燃料不足で輸入が増えている。一方、余剰農産物を抱えている。
NGUYEN Viet Hai/ベトナム(農業地域省)、「主穀物のバイオマス資源利用」
推定資源として、稲ワラ=30Mt以上、モミガラ4Mt、Maize 10Mt、バガス3.2Mt(他にサトウキ端葉1.6、糖蜜1.6Mt)、甘藷蔓2.4Mt、カッサバ葉1.5Mt、落花生葉1.5Mt、など。
GAO Shangbin/中国(農業省)「バイオマス利用の状況と未来」
13億人いる。稲ワラは主な農産廃棄物だが、カマドは熱利用効率は低く、焼却では煙害をもたらす。鋤き込みは冬場が寒冷で腐敗せず有害となり、一割くらいしか処理できない。小規模バイオガスは普及して農家の助けになるが、冬場のメタン発酵は困難になる。。
藤本 潔/農水省資源循環室長「バイオマス・ニッポン戦略」
日本の現状(たとえばワラは30%ほど使用→堆肥と飼料)と打開方向。カスケード有効利用や、地域振興、バイオ・リファイナリーを目指す。
西嶋昭生/産総研国際コーディネータ「バイオマスアジア展望」
アジアのバイオエネルギー資源は、農業廃棄物系が多いのが特徴。農場廃棄物や畜産廃棄物は巨大。将来的にはエネルギー植物も。日本はバイオエネルギー特許が多く、特にバイオ廃棄物からエネルギー回収関連特許が著しく多い。メタン発酵、水熱処理、DME合成、エタノール発酵、ガス化・メタノール合成、砂漠化防止、などが目標になる。
・・・時間枠がきびしく、パネル討論にフロアからの質問を受けることが十分できず残念であった/sano.
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☆1/20(つくば)報告者=Fujino
9:00〜14:55「Bioenergy1」、「Bioenergy2」
(1-1)「各種バイオマス資源量/タイ」Klanarong SRIROTH/タイ(Kasestsart大)
タイにおける残渣および副生成物のバイオマス資源量の網羅的把握。エタノールプログラムの説明。http://www.cassava.org/
(1-2)「パーム関連物を中心に/マレーシア」Mohd Ali HASSAN/マレーシア(Putra大)
マレーシアにおけるバイオマス転換技術のR&Dの現状と課題。特にパーム残渣を対象に。
(1-3)「木質+濃硫酸法によるバイオエタノール」星野忠一(日揮、バイオマスエタノールGr)
高濃度硫酸加水分解によるバイオエタノール生産に関する技術開発状況。
(1-4)「希硫酸法によるバイオエタノール」佐藤正則(月島機械)
技術開発状況。BMTプロセスでのリグノセルロース分解によるバイオエタノール生産。
(1-5)「DMEエンジン」後藤新一(産総研,クリーン動力Gr)
技術開発状況。DME車の開発とそのフィールドテストの結果。NOx排出の削減方法の試験。
(1-6) 「バイオマス転換技術」佐々木義之(産総研,循環バイオラボ)
バイオマス転換技術の開発。ポリ乳酸製造など。
司会:Akira YABE ( AIST,中国センター)
(2-1) 「稲,バガス,ヤシ,木資源」Jessie C.ELAURIA/フィリピン(ロスバモス大)
フィリピンにおけるバイオマス導入状況。政治的な阻害要因の例示。
(2-2)「バイオガス化発電」ZHAO Daiqing/中国(広州エネルギー変換研)
中国のエネルギー供給は66%が石炭である。消費では、再生可能エネルギーが割と多くて20%あり、主にバイオマス。ただし16%が伝統的なカマドのように非効率的な利用法で、改善余地は極めて大きい。/この項=sano.
(2-4)「超臨界応用バイオマス資源化」松村幸彦(広島大工)
技術開発。超臨界水と水熱反応によるバイオマス転換技術の開発状況とプラン。
(2-4)「BDF技術」鍋谷浩志(食品総研)
技術開発。京大坂グループによる超臨界メタノール製造とmicroemulsification技術開発状況の説明。
(2-5) 「BDF政策」沢一誠(三菱商事)
世界市場におけるバイオディーゼルの導入状況と日本での展望。政策的手段での導入促進の道を模索。
15:30〜18:05バイオ物質.司会:Hiroshi TATEISHI ( AIST)/fujino.
(3-1)「南ベトナム・メコンデルタのバイオマス生産」PHAN Dinh Tuan/ベトナム(豊橋技科大)
南ベトナムにおけるバイオマス生産とエネルギー利用の現状。より詳細な見積もり調査とそれに基づく技術開発プランの計画が必要/fujino.
メコン川デルタは4Mha(全土=33Mha)なのに主食糧の50%をまかなっている。2〜3毛作。稲・カッサバ・ヤム芋が主。1〜5月は灌漑、5〜11月は雨期、8〜11月は洪水期。収穫=5〜3t/ha。農業廃棄物:糠→飼料、モミガラ→燃料,炭,発電(テスト)、ワラ→飼料,家庭燃料,きのこ原料./sano.
(3-2)「バイオプラスチックス」CHEN Guo-Qiang/中国(精華大)
バイオプラスチックの開発動向とその潜在的需要量の推計。
(3-3)「資源量と転換技術研究状況」CUI Zongjun/中国(東大客員)
中国における資源量・現状の利用技術の把握と遺伝子組み換え作物の開発・セルロースのマテリアル利用などの新たな転換技術の研究状況。
(3-4)「森林,生物多様性」NUGYEN oang Nghia/ベトナム(森林研)
ベトナムの森林の状況。戦争による森林破壊からの回復。多様性の観点からの持続可能な保全が必要。
(3-5)「木質資源」Sri Nugroho MARSOEM/インドネシア(ガジャマダ大,森林部)
木材に関連する産業の概観。
(3-6)「パーム残渣利用」」 白井義人(九州工大 生命体工学)
マレーシアで盛んなパーム油製造に伴うバイオマス残渣の有効利用策の提案。
(3-7) 「パーム残渣からのパルプ生産」田中良平(森林総研 成分利用・木材化学研)
パーム油製造に伴うバイオマス残渣による紙生産方法の開発。
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☆1/21(つくば)3日目には、バイオエネルギー 3、次世代のためのR&Dの2セッションと、アジアバイオマス利用のための未来の共同作業と題したパネルディスカッションが行われました/matumura.
9:00〜11:15 「Bioenergy3」、司会:Tomoko OGI
Nikhon LAEMSAK, Thailand「タイのバイオマス利用状況」 Fuel woodの利用が多い。
CHU Fuxiang/中国「中国のバイオマス利用状況、技術開発」ガス化、液化、炭化、活性炭などの研究開発が進められる。
LEE Jin-Suk/韓国「韓国のバイオマス利用状況」バイオディーゼルの導入政策が進められ、米国からの大豆油を原料として利用。
田中章浩(農・生産業機構九州沖縄)「農林2号、3号の紹介」炭化+ガス化で含水性バイオマスも有効利用の可能性。
澤山茂樹(産総研エネ技,バイオマスGr)「メタン発酵の技術開発状況の紹介」海外から食糧、飼料を輸入、メタン発酵で肥料として海外に輸出するネットワークの提案。
田中瑞彦(NEDO新エネ開発部)「NEDOのバイオマス高効率転換技術開発」バイオマスエネルギー政策、高効率変換の各種:混焼、分散発電、流動床、ガス化・液化、2段発酵、セルロース系エタノール、汚泥処理、脱水、BDF.
[次世代のためのR&D]司会:Yoshito YUYAMA
Praphan PRASERTSAK/タイ「持続可能なサトウキビ生産、潜在資源と可能性」残さを農地に戻すことが必要。
Splandi SABIHAM/インドネシア(ボゴール農大)「バイオマス利用、伝統と現代風の有機物管理統合」持続可能であるには土壌の有機成分が重要。従来農法の考え方も用い、残さの一部は農地に戻すこと。
WANG Tao/中国「北中国砂地における砂漠化プロセス」過剰栽培、過剰放牧、過剰伐採、過剰水利用により砂地砂漠化が進行、バイオマス資源量が減少。
飯山賢治(東大)「劣化地における砂漠化、酸・アルカリ化」東北中国のアルカリ化、植生の回復、砂漠移動のワラボードによる阻止、東南アジアの酸性化、泥炭土、溶解性有機物の除洗.
黒川清登(JICA)「JICAの取り組み」〜の紹介。中小企業と産業技術開発の活動の一環としてバイオマス関連事業も推進。継続性のためにキャッシュフロー解析も。
[パネルD:アジアバイオマス利用のための未来の共同作業]司会:Takayuki MATSUO
「アジアバイオマス将来協働」最初に各パネラーからコメント、その後討論。
パネラー:
Peesamai JENVANITPANJAKUL/タイ: バイオマスについて相互に利益が出るようにアジェンダを作成、提案→プログラム→プロジェクト化を進めるべき。
Petrus PANAKA/インドネシア: 研究者間で共同研究を進めるよう、バイオマス利用者ネットワークを。
Robin BOURGEOIS/国連: 貧困問題が重要。多くの人はエネルギーへのアクセスがないことを踏まえた地方のバイオマス利用を。
TRUONG Nam Hai/ベトナム: ワーキンググループを作ってプロジェクトを立ち上げ、ファンドを得て進めることが望ましい。
HOI Why Kong/マレーシア: 技術的、経済的、政策的な問題があることを踏まえてバイオマスの導入を考えることが必要。
山本幸一(森林総研 循環利用): 国ごとに取り巻く状況も異なるので、共同研究のためには共通テーマを設定することが必要。
原後雄太(明治学院大): 持続可能性を実現するための経済価値のある製品を実現するようにガイドラインの設定をしたい。
・・・議論としては、今回のワークショップは、情報交換と相互に知り合う意味で成功であったとの認識が共有された。また、
今後、資源や技術の情報、ファンドの情報などを共有していくことが必要; WSやR&Dのさらに先に進めるためのフレームワークを作ることが必要; アジアとしての共通計画を策定し、経済的な補助を行っていくべき; 地域社会の発展の観点からは供給される技術は実際に求められているものであるべき; 今回の意見交換を続けるために、メーリングリストを立ち上げたい; メーリングリストとしてはSETA
ProgramのSABRENが利用できる; 等の意見があった。
最後に、このワークショップは何らかの形で来年も行われることが宣言された。
閉会の辞/Yutaka MORI
相互理解と総括的な情報に基づいてキーポイントを共有した将来の方向性を持つことが重要。また、目標としてはアジアの持続可能な発展であるが、多岐にわたる分野、項目において解決すべき問題があり、ネットワーク、データベース、R&D共同作業を通してシナジー効果を目指すべき。バイオマス利用のためのアジアフォーラムといったプラットフォームが望まれる。Biomass
Asia Workshop 2006で再会を。
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今回のワークショップは、初めてアジアのバイオマス関係者が集まり、お互いに知り合うと同時に情報を共有するという意味で重要かつ意義深いものでした。個人的には、主に東南アジアの国々ではバイオマス資源量が豊富であり、エネルギー資源としての可能性も大きいと考えていたのに対して、かなり控えめな導入目標や資源量評価が行われているのが意外でした。どの国もバイオマスの可能性、必要性は理解しているものの、広く一般への理解が進んでおらず、経済性の面で導入が進まないことでは一致しています。地域社会においては高価な高効率な技術よりも安価な技術を求める声があり、アジア戦略を考える上でより定量的なデータと検討の必要性を感じました/matumura.
問合せ→農林水産省大臣官房、環境政策課 /国際調整課 E-mail:atcjapan@nm.maff.go.jp
または 産総研 国際部門 西嶋・並木・白石 E-mail:
biomass.ws@m.aist.go.jp
-------------アジア'05 fin.