地域バイオマスエネルギー国際セミナー」バイオマスエネルギーに関するASEAN+3フォーラム」.007-0806b

2008.6/18-21/北京・友誼賓館
主催=中国農業省+アジア開発銀行
・・・彼らの共同研究の成果報告という位置づけでもありました。実質的な会議は19-20日、21日はバイオガスとペレット工場の見学でした。 参加者は先方の選んだ約200人で、ASEAN+3の各国の主に政府農業関係者とアジア開銀、世界銀などの他、中国の各地から参加;日本からは、松村の他、農水省関連3名。/matumura
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19日
司会=Bai Jinming。挨拶=Wei Chaoan(中国農業部)、Kraus(アジア開発銀行(ADB))、Zhu Jun(中国外交部)、Krishna(ASEAN)>。以下、3つの全体セッションで発表。
<全体セッション1>
Kou Jinaping (中国): Current situation and prospects to development of rural biomass energy
 中国農村バイオマスの紹介。2650戸がバイオガスを設置。わらの発電、ガス化発電エタノール、バイオディーゼルも。農村のエネルギー需要は2000〜2006年60%増500 tceのバイオエネルギーがある。
Qingfeng Zhang (ADB) :Cooperation prospects on rural biomass energy between ADB and MOA
 アジア開発銀行と中国農業部との協力について。中国は世界で2番目のエネルギー生産/消費国であり、1人あたり米国1/10の電力しか使っていない。農作物残渣に着目し、総合的バイオガスシステムを導入するプロジェクトを行う。

Lu Xiaoping (中国): International cooperation on biomass energy in China
 中国バイオマス利用に関する国際協力状況。ADBや世界銀行のサポートの一方、ASEANやGMS(Great Mekong Subregion)への技術供与を行う。

Evasio Lavagno (イタリア): Evaluation to life cycle of liquid fuel
 液体燃料などのLCAを行うTIMES code の紹介。欧州で開発され、土地利用穀物生産を同時に扱う。
 
Wang Gehua (中国): Progress on strategy research project of biomass energy development of ADB's ADTA
 中国のバイオマス導入政策。技術評価資源量評価を通して進める。技術としては混焼バイオガス、ペレット/ブリケットなど。 作物は甘コーリャンとキャッサバを考える。

Rainer Dadios Pantua (フィリピン): フィリピンのバイオマスについての状況。2000〜2006年メタンガスシステムがプロパンに代わったためにバイオエネルギーは25%から11%低下バイオ燃料導入の政策が進められている。

Pascal Delaquil (International Resources Group, Co.) :
 ADBの農業残渣利用プロジェクトの紹介。4-in-1、3-in-1のプロジェクトを実施した結果、農家の収入は160%増加し、家事の時間が減った木材の利用は53.6%石炭13.6%使用が減った。
 
<全体セッション2>
 Lu Ming (中国): The prospect analysis of combined production of sugar and ethanol from sugarcane
 サトウキビから砂糖とエタノール同時に生産する検討。トウモロコシから作るより単位面積の収量もコストエネルギー投入産出比も有利。

Weiguo Zhou (世界銀行): Cooperation on biomass energy between World Bank and China
 中国と世界銀行の協力。省、地方自治体、会社やNGOなどと協力して進める。家畜排泄物作物の生産について。国のプログラムと一緒にするなどのアプローチも。
 
Sinn Por (カンボジア): Bio-energy and rural renewable energy in Cambodia
 カンボジア地域バイオエネルギー事情。全エネルギーの80%木質。地域の貧困対策とも絡めて導入の政策。プラスチックメタンはネズミなどにやられ、1〜2年で消えた。

Zhao Lixin (中国): The resource survey and evaluation research on the utilization of major crop stalk energy in China
 穀物残渣のエネルギー利用可能性調査。残渣率などを実測し、2006年発生量37,196万t、利用可能量17,590万tと。分布も確認。
 
Kurt Roos (アメリカ) :The methane to markets partnership - Agriculture
 米国EPAメタン発酵プロジェクトメキシコなどで実証プロジェクトを行う。東南アジアではタイ、中国、ベトナムで。
 
Yukihiko Matsumura (日本): Aspects important to Asian biomass utilization and activities of Asia Biomass Association
 アジアバイオマス利用に関する各種の利点と、考慮すべき条件を整理。また、バイオマス・アジア協議会の協力のもとに農水省の作成するバイオマス・アジア・ハンドブックの紹介。
 
Tong Boitin (ドイツ): Practical application -a UNIDO biogass demonstration project for sisal agriculture waste in 
Tanzania
 タンザニアバイオガスプロジェクト。サイザル麻繊維を取った残渣の処理。CHPで発電熱利用(180 kWe)
 
<全体セッション3>
Jerry Yan (スウェーデン): Bioenergy R&Dand utilizations in Sweden
 スウェーデンのR&Dの紹介。バイオリファイナリー第2世代エタノール、黒液ガス化、木材ガス化、CO2固定のバイオエネルギーシステムなど。

Masamichi Saigo (日本): Japanese biofuel policy
 日本バイオ燃料政策。地域の発展、エネルギー安全保障、環境保全ならびに食料安全、LCAを重視。2011年5万kLを生産。
 
Hu Guaqiang (中国): International cooperation results of technology of Chinese biogas
 中国バイオガス技術に関する国際協力の紹介。トレーニングセンターを置いている。アフリカへの技術供与も。
 
Ruihong Zhang (アメリカ): Advanced anaerobic digestion technologies for biogas energy production from organic waste
 米国メタン発酵の技術開発。USデービスのプラントの紹介。
 
Soo-Min Lee (韓国): Agricultural and biofuel policy in Korea
 韓国バイオディーゼルの状況。2007年に9万t供給。0.5%の混入。菜種から生産するプロジェクトも進行中。木材の超臨界水酸化による糖化も検討。
 
Ni Shenjun (中国) :The design of farm biogass CDM project in Henan province
 河南省バイオガスCDMプロジェクトの紹介。CDMによってそれまで投資が大きくて収入に結びつかなかったメタン発酵の導入を進められる。
 Adisorn Chanprapalert (タイ): Status of biomass energy from livestock section in Thailand
 タイ家畜排泄物の状況。政府の再生可能エネルギー導入目標(2011年に8%)の下で導入が求められる。世界銀行の援助でプロジェクトを進める。実証、教育、政策策定など。

Li Jingming (中国) :Criterion of rural biomass energy in China
バイオマスの規格の決定について。38を決定。地域バイオマスについても18を決定。国際化とPRの実施が必要。
 
20日の午前中は3つのパラレルセッションで議論が行われました。各トピックは次の通りです。
Panel 1: The development strategy of rural biomass energy in China(農村バイオエネの開発戦略/中国)
Panel 2: Cooperation of biomass energy in ASEAN(バイオエネ協力/ASEAN)
Panel 3: Technical discussion on the development of biomass energy industry(バイオエネ産業の開発技術討論)
 
松村の参加したパネル2では、各国状況を簡単に紹介した後、午後に採択する共同声明の文面の決定を行いました。基本的にはこのフォーラムを今後も続け、第2回も中国で行う、というものです。

20日の午後は、共同声明を発表した後、Krishna(ASEAN)、Kannan(アジア開発銀行)、Lu (中国農業部)が挨拶し、閉会となりました。
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今回の会議は、前述の通り中国の農業部がアジア開発銀行と主催したもので、一部は共同研究の結果の報告でしたが、一方で、中国の発言に「南北間の協力だけでなく、南南間の協力も進められるべきだ」というものが散見され、中国のバイオガス技術東南アジアの各国に展開していくことを視野に入れたものと見られます。これまで、欧州をメインとした技術供与を受ける一方だった中国が、バイオマスの技術を販売する側に回ることを印象づけようとするとも理解できます。そのためにもこの分野でのリーダーシップを取ろうという意図も見えます。

また、以前にもコメントしたかもしれませんが、フィリピンにおいては、バイオエネルギーの使用量が減少しています。日本で も、戦前は多くのメタン発酵が導入されましたが家畜を飼わなくなったことと、化石燃料導入で生活レベルの向上によってメタン発酵は見られなくなりました。フィリピンでプロパンガスの普及とともに同様の状況が進行しています。東南アジアにおけるバイオマスを考える時には、今後の展開も視野に入れた議論が必要になることに注意した方がよいかと思います。/matumura(mat@hiroshima-u.ac.jp


---008-0806b終.