◆第3回バイオマス科学会議◆
2008.1/15-17/キャンパスプラザ京都/報告者=松村、美濃輪、花岡、佐野、
1/17 サイトツアー/京都市 廃食用油燃料化施設、バイオガス化技術実証研究プラント
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2008年1/15〜16日と京都駅前のキャンパスプラザ京都において第3回バイオマス科学会議が開催されました。20件の口頭発表、47件のポスター発表がありました。
また、京都大学の一方井誠治先生に特別講演「ポスト京都議定書の国際枠組み」をいただき、松村のコーディネートでパネル討論会「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」が行われました。/matumura
皆さんのお好みの発表に、コメントをお寄せ下さい:→1発表に、複数のコメントが付くのは歓迎です/sano
この会議では、全体で意見を共有するために口頭発表セッションを1カ所とし、全員が同じ発表を聞く形で進めています。同時に、ポスターセッションについては時間の前半で著者が4分ほど説明するツアーを5つ並行で行いました。/matumura
◆ポスターセッションの内容については、各セッションの座長から報告するようにお願いしております。ただし、渡邉様担当のセッションは河本様から紹介いただけます。/matumura
◆各セッションの座長は以下の通り:
セッション1 資源 山本博巳(電中研)
セッション2 システム・政策 河本晴雄(京都大)
セッション3 技術・導入−ガス化等− 長谷川功(京都大)
セッション4 技術―マテリアル変換− 吉田貴紘(森林総研)
セッション5 技術−液体燃料− 宮藤久士(京都大)
ポスターセッション 松村幸彦(広島大)
〃 花岡寿明(産総研)
〃 渡邉 賢(東北大)
〃 柳下立夫(産総研)
〃 美濃輪智朗(産総研)
ーーー初日の紹介ーーー
セッション1 資源/matumura
O101 木材搬出用受け渡し式搬器による森林バイオマス資源収穫費用低減化の可能性/有賀ら(宇都宮大、日本大)
架線集材において2つの輸送機を有し、一方は山側で木をつるし、目的地までの中間で木を受け渡して山に戻り、他方は中間で受け取って目的地まで運ぶ仕組みを提案。15%経費が削減できると。
コメント:木材用だけ?柴材は難しそう/sano
re:コメント:本研究では森林バイオマスとして、 1)針葉樹・人工林主伐時の土場残材;2)〃間伐時の捨切り材;3)旧薪炭林の広葉樹材;を想定し、柴材は想定外。第1回バイオマス科学会議で説明しました/aruga
O102 第2世代BDFを何に設定するかの戦略/佐野ら(地球システム研、阪南大、近畿大)
変換コストを考慮すれば、植物油をそのままディーゼル燃料として利用することが適切と提案。
コメント:FAMEに比べて、3割省エネになる。SVO路線には中速ディーゼル拡張が必要/sano
O103 アジア地域を対象としたバイオマス賦存量GISデータベースの作成と公開/栗原と井上(電中研)
Googleアースを用い、各国の統計データを組み合わせて、アジア各地域のバイオマス資源データを得られるシステムを構築し、公開。
O104 Prospects for biofuels production in Indonesia-Potential benefit and risk/Amirtaら(京都大)
インドネシアでは液体燃料を中心として2015年に3%、2025年に5%バイオエネルギーを導入する目標。
セッション2 システム・政策
O401 都市域における環境資源の利用を考慮した分散型エネルギーシステムの評価 岩本ら(東京農工大、東工大)
東京都のバイオマスを用いてエネルギー供給をする場合に、導入量を決めた場合にどの種類のバイオマスが導入されるかを従来処理を行う場合と行わない場合で検討。
O402 セルロース系バイオマスからのエタノール製造方法のプロセス比較 美濃輪ら(産総研、トヨタ自動車)
濃硫酸法、希硫酸法、ボールミル+酵素、ディスクミル+酵素、の各場合についてエタノール生産に必要なエネルギーを推算。
コメント:ディスクミル法が省エネ的で有望/sano
O501 技術に連動したバイオマス原料の標準化に関する検討/前ら(京都大、関西大、NIRO、産総研、森林総研、コベルコ科研)
バイオマスの利用技術をも踏まえて各種バイオマスを分析しグレードで分類することが必要という提案。
O502 バイオマス利活用による事業化の持続可能性評価方法の考察/鈴木(山梨大)
持続可能なバイオマス利用を考える上で、ストックとフローの考え方を環境、経済、人文科学の観点に導入して評価する方法の提案。
ーーーポスターセッションーーー
−−−ここからmatumura担当ーーー
P101 短伐期ヤナギ林による木質バイオマス生産に適したヤナギ種の探索/佐藤ら(京都府立大、宮城教育大)
各種のヤナギを育て、短伐期林業に適した種を確認。チップ化利用のため、太い幹が1本生えるよりも同じ程度の太さの小径木がいくつかまっすぐに生えるものがよいと。
P102 Study of pyrolysis kinetics of newspaper and its gasification/Bhuiyanら(首都大)
TG/TDAを用いて新聞紙のガス化特性を確認。反応速度パラメータも決定。
Q:柳の葉は飼料になるか?なればアグロフォレ式の突破口になる。
答:サリチル酸誘導体をふくむのが問題になるかも。
P103
講演中止
P104 インドネシアにおけるナンヨウアブラギリの植栽及びバイオディ-ゼル(BDF)変換利用の現状/吉田ら(森林総研)
インドネシアの露天掘り炭坑の埋め戻し再緑化の土地にジャトロファを植えて油を得て、バイオディーゼルを生産、利用する事業の紹介。
Q:ヤトロファは食用になる、という話も。
答:いろんな品種がある。
−−−ここからhanaoka担当ーーー
P-201 木質バイオマスの2段階ガス化-チップおよび合板を用いたCO2ガス化/澤田ら(北海道大)
木材の炭化-CO2ガス化による高純度CO製造プロセスの開発。炭化温度は600℃以 上が適当。CO2ガス化速度は、カラマツ合板を用いた方がカラマツチップの場合 より速い。合板に含まれる接着剤中のCa、Naが触媒作用が原因の一つであると考 えられる。
P-202 木質系バイオマスタールの特徴ならびに熱による改質/茂木ら(群馬大)
熱分解タールを沸点の観点から回収。全タールのうち、約70%が沸点150℃以下の 軽質な物質であり、98.2%が沸点400℃以下であった。得られたタールは600℃以 上で急激に分解が促進した。
P-203 木質バイオマスとPETを原料とした気流層高温ガス化に関する研究 /田中ら(名古屋大、東南大、環境研)
ダウンフロー型気流層ガス化装置を用いた木材とPETの共ガス化。PET由来チャー のCO2ガス化速度が木材由来チャーのガス化速度より遅い(TG結果)ため、共ガ ス化特性は木材単独ガス化より冷ガス効率が低い傾向となった。
P-204 バイオマスの2段階ガス化チャーガス化炉におけるタールの分解特性につ いて /伊東ら(大阪大、中外炉工業)
熱分解-チャーガス化の2段階ガス化炉開発。ガス化炉定常運転のためチャー層高 を保つには空気比0.2が適当であり、最大冷ガス効率85%であった。
P-205 ベンチスケールガス化炉による木質系バイオマスからの合成ガス(CO+H2) 製造 /花岡ら(産総研、ジュオン)
ベンチスケールBTLプラントによる木材からの炭化水素燃料製造。日量1.9L製造 に成功。ガス化ガスのH2/CO比が0.85程度のため、収率向上にはH2/CO比2へ近づ けることが必要。
P-206 木質系バイオマスガス化による合成ガス(CO,H2)製造に関する研究 /佐々木ら(愛媛大、産総研)
ガス化剤(O2, H2O, CO2)種がガス化特性に及ぼす影響の検討。Air/steamガス化 でH2O/C=3〜5、CO2/O2ガス化でH2O/C=5でH2/CO比1以上を達成。ガス化率に関し ては水蒸気を投入しない場合、CO2/O2ガス化の方がAirガス化より高い傾向。
P-208 マイクロ波法による木質系バイオマスの急速熱分解 /三浦ら(産総研)
サトウキビ、トウモロコシの芯からのマイクロ波法による液状成分の製造と評価。 無水糖収率は木材の場合と比較し、1/20〜1/2程度。液状成分300倍以上の希釈液 はマウスによる安全性評価では毒性は認められなかった。発熱量は4.0MJ/kg。
P-209 種々の熱分解条件におけるセルロースの構造変化の考察 /谷ら(京都大)
セルロースの熱分解において、昇温速度が小さいほどセルロース内のOH基の架橋 形成が促進され、5℃/minでは約半分のOHが脱水された。360℃付近でグリコシド 開裂によるタール生成と脱水架橋化反応による水の生成がほぼ同時に進行した。
P-210 触媒懸濁バイオマススラリーの見かけ粘性率に及ぼす触媒濃度、含水率お よび温度の影響 /北川ら(広島大、中国電力、東洋高圧、産総研)
触媒が懸濁した鶏糞スラリーの粘性率評価。触媒懸濁濃度を考慮した粘性率評価 式を提案し、実験値と良好に一致した。10t/日規模のプロセスでは、スラリー供 給に1.34MPaの圧力損失が伴うが、反応圧力(25MPa)を考慮しても十分原料とし て用いることが可能。
P-211 ガス化剤存在雰囲気下での木材と構成成分のTG測定 /小木ら(産総研)
水蒸気、酸素導入可能なTGの結果と噴流床ガス化炉を用いたガス化結果との比較 を行った。TGからリグニン、タンニンはスギ木部、樹皮と比較し、ガス化が困難。 TGから得られた結果は実際のガス化結果と良好に一致した。
−−−ここからminowa担当ーーー
P401 (阪南大)本庄ら:有機メタン発酵収率最大化へのシステム検討
廃棄物系有機物のバイオガス回収を最大化することを検討。家畜糞尿は▼コンポスト化ではなく、乾式メタン発酵を、下水汚泥は、活性汚泥処理の▼曝気を最小化して余剰汚泥の回収量を増やす、厨芥は▼ディスポーザではなく、固形物として回収する、ことを提案。
minowa/今後、社会システムの検討が必要。
P402 (東北大)出口ら:バイオマス燃料を導入する運輸部門エネルギーシステムの総合評価
宮城県で遊休農地でエネルギー作物(リグノセルロース)を栽培し、エタノールを生産するシステムのケーススタディー。生産コスト、CO2削減量などを試算。輸送距離、プラント規模等を考慮し、プラント1ヶ所よりも2-3ヶ所の方が低コストで出来る。
minowa/リグノセルロースからのエタノール生産は研究開発、実証段階なので、コスト分析は注意が必要(我が身でもありますが)。本検討は最適立地場所の検討に有効。
P403 (静岡県工技)酒井ら:メタン発酵と燃料電池による生ごみからのエネルギー回収システム
学校給食センターの生ごみをメタン発酵して燃料電池で発電するシステムの実証研究を紹介。固体スラリーのUASBが特徴。経済性分析によれば燃料電池は割高。
minowa/燃料電池にこだわらずに実用化して欲しい。
コメント:長期燃料電池用ガスには、高度脱硫精製が必要になるのでは/sano
P403 (産総研)柳田ら:鶏糞の超臨界水ガス化における副産物からの資源回収
鶏糞の超臨界水ガス化における副産物の利活用で経済性能向上を検討。固体残渣からは酸、アルカリ処理でモノタイトを回収、処理水は濃縮で硫酸アンモニウムを回収するシステムを提案。
PS.再分析、ヒアリング調査により、要旨とは大きく異なった結果を発表。
(minowa/共著なので、ノーコメント)
P404 (早稲田大)長澤ら、草本系バイオエタノール生産・供給にかかわるインベントリ分析
糖・デンプン系(トウモロコシ、サトウキビ、小麦、キャッサバ、ソルガム、テンサイ)からのエタノール生産のWell To Tank分析。○エタノール製造は現地で行い、日本に輸入することを想定。ブラジル産エタノール(原料サトウキビ)が最も少ないGHG排出量となった。
minowa/類似の研究との比較が欲しいところ。
P406 (産総研)藤本ら:木質系バイオマスからのエタノール生産における糖化および発酵のプロセスシミュレーションによる評価
エタノール生産のプロセスシミュレーションに糖化速度を組み込んで経済性を評価。長時間糖化するとタンクが大きくなり固定費が増加するが、それに見合う糖化率の向上があるかどうかを酵素量と糖化速度の関係で検討。酵素が高価格では低添加量で長時間行った方が良く、安くなると最適点が出てくる。
(minowa/共著なので、ノーコメント)
P407 (一関高専)福村ら:コンバージミルを用いた木質バイオマスの高効率エネルギー変換法の構築
円筒容器に固定ガイドベーン設けた構造により媒体ボールの軌跡を変更して衝突エネルギーを高めたもの。通常のボールミルよりも短時間で粉砕可能。
minowa/必要動力の結果が欲しかったが、新しい原理の粉砕機であり、まずは運転の最適化が先かも。
P408 (一関高専)福村ら:固体触媒を用いた流通式反応器によるバイオディーゼル燃料の連続合成
酸化カルシウムの成型物を固体触媒として使用。回分式で基礎データをとり、連続式を製作。
minowa/カリウムより反応時間は必要だが、カルシウムは安価な触媒として有望。今後、実廃食用油で検討して欲しい。
コメント:発表0-212を参照/sano
P409 (復建調査設計)縄田ら:バイオマス利活用支援システム構築に係る研究(第1報)
バイオマス関連事業の成功・失敗要因を分析し、支援システムを構築する事業を紹介。経済性分析とシナリオ作成がアウトプットの支援システムをつくる予定。
minowa/第1報なので、続報が待たれる。他の支援システムとの違いを出していって欲しいところ。
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ーーーーーーーーーー特別講演ーーーーーーーーー
「ポスト京都議定書の国際枠組み−世界と日本の気候変動対策」/一方井誠治(京都大)
バリ・ロードマップ、IPCC第4次報告、スターン報告、排出量取引、日本の現状と見通しを紹介いただいた上で、持続可能な社会を実現する観点として、価値観・意識の変革、革新的技術の開発・普及、社会システムの改編をあげる。気候変動対策を、チャンスとしてとらえるべき/matumura
ーーーパネル討論会ーーー「バイオマス・バイオ燃料の持続可能性」 /matumura
司会/モデレータ:松村幸彦
パネリスト: 泊みゆき(バイオマス産業社会ネットワーク)
匂坂正幸(産総研ライフサイクルアセスメント研究センター)
森本慎一郎(産総研技術情報部門)
藤原敬(全国木材組合連合会)
バイオマスはカーボンニュートラルという観点で持続可能と考えられているが、近年、エタノールの生産に関して食料との競合、エネルギー効率などの観点で疑問が提示されている。持続可能性について専門家のコメントを得て議論した。
森本:現在の持続可能性に関する国際的な動向を紹介。地域特性を考慮すべき。
泊:持続可能性に配慮した輸送用バイオ燃料利用の原則を紹介。
森本:森林管理の持続可能性を保証する森林認証制度について紹介。
匂坂:LCAで計算に使う値のばらつきを考慮して結果に幅が出る検討、各種評価関数の紹介。
ーーーディスカッション(松村から)
Q・持続可能性は地域によって違うのでしょうか?
森本:地域に応じて重視するべき項目は変わってくる。
Q・各種の評価関数はどこまで考えるべきなのでしょうか?
藤原:必要に応じて各種の評価を利用していくことが必要。
Q・データのばらつきがあるのであれば、持続可能性、許容性についてどこまで言えるのでしょうか?
匂坂:前提条件を明確にし、具体的な個々の場合についてのLCA解析が必要。
Q・経済性を犠牲にしてもトコトン持続可能なのでしょうか?
泊:現実的な評価、適用は考えていくべき。
ーーーディスカッション(フロアから)
Q・多少CO2を出しても評価する立場では許容されることもあり得るか?
→ 場合によってはそう。
→ とはいってもCO2は適切な評価関数。
Q・バイオ液体燃料を利用した方が環境に悪いこともある?
→ 特に日本では評価軸によって、とても悪い値が出ることがある。
→ 良い条件が実現できるまでは導入を差し控えるのも手。
Q・現在の化石燃料システムにバイオマスを適用するから難しいのではないか?
→ 長期的視野で検討することも必要。また、環境に悪い結果もある評価軸では、ということ。
Q・ポジティブな議論を期待したい。食料もエネルギーにするのはあり得ない、という前提のはず。
→ とはいっても、現に貧困層への問題などが生じている以上、目をつぶるわけにはいかない。
ーーー以下=松村の個人的な意見。
持続可能性に関してカーボンニュートラルが示すCO2だけではなく、各種の評価軸が必要であり、また、条件によっては逆にCO2を排出する事例があることも事実です。CO2排出については、LCAの手法を用いてある程度整理することもできますが、それ以外の評価軸についてはどのような指標を用いるのが適切か、また、指標が決められてもその値がしっかり決定できるか、という観点で明確でないこともあります。
しかしながら、たとえカーボンニュートラルであっても、発展途上国の貧困層に大きな問題を生じさせたり、食料の価格が高くなりすぎたりすることが社会的に大きな問題となれば、バイオマスやバイオ燃料は社会から排除されるでしょう。(会場では、社会は新聞記事が動かしている、という言い方をしました。)バイオマスを研究、導入する立場としては、明確な評価ができない持続可能性評価軸に対しても注意を払い、バイオマス利用の適切な進展を考えることも重要ではないでしょうか。