◆バイオマス・アジアフォーラム◆<NEW>>2006.1/19-20/国連大学
報告者= 佐野、松村、吉田、美濃輪、松本ほか
=Ses.1、Ses.2, Ses.3、Ses.4、Ses.5、パネル討論、ポスタ
バイオマス関連発表=講演24件、ポスター24件/
皆さんのお好みの発表について、コメントをお寄せ下さい:→それで「報告」を作成します。 報告者は(座長が多くなりますが)、特定しません。発表者ご自身、あるいは批判者の投稿歓迎です。 いずれ、別途にプロジェクトの正式報告書(途上ですが、目次にリンクをはります)が出ますが、ここでは自由討論して下さい。
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Ses.1 持続可能な農業とバイオマス有効利用-ケーススタディT-----
司会:松本(国際農林水産業研究センター).このセッションは持続可能な農業への事例研究について、ベトナム・フィリピン・インドネシア・中国・日本各1件を紹介する。
1-1.「ベトナムの農家の複合農業における低コストプラスチックバイオガスダイジェスター」Lam Vo(ベトナム)
養豚に伴う排泄物からメタンガスを取り出すバイオガスダイジェスターの農家への導入を紹介。コストを下げるためビニール袋を用い、40〜60米ドルで作ることが出来た。バイオガスには、メタンが50〜70%含まれており、硫化水素は微量であった。排出液はアンモニア態窒素・リン酸を多く含み、大腸菌が少なく、これを有機肥料として施用したところ、作物収量の増加が認められた。ビニール袋を材料としているため、耐久性に問題があるが、タイ、ラオス、カンボジアなどの国々で、小規模な養豚を行う農家に、有効な技術と思われる。
1-2.「八木バイオエコロジーセンターのメタン発酵排出液の有効利用を通しての持続的農業の確立」中川悦光(日本)
八木バイオエコロジーセンターは家畜糞尿を堆肥化する施設であり、このセンターの運営に必要な電気を家畜糞尿から出るメタンを使ったガス発電で賄っている。メタン発酵施設には乳牛糞尿、肉牛糞尿、豚糞尿、おから、廃棄ミルクが合計70トン/日強投入され、発酵漕から出るメタンでガス発電(3,825 kWh/日)を行い、発酵施設・堆肥化施設・廃水処理施設に必要な電気を賄い、余った電気(約10%)は売電している。発酵廃液は一部が液肥として利用され、残りは脱水され、脱水ケーキは肉牛糞尿と合わせて堆肥化され、堆肥の生産量は23.7 t/日である。
1-3.「自動車産業におけるマニラ麻繊維の利用:フィリピンのPPPマニラ麻プロジェクトのケース」Roberto Carino Guarte(フィリピン)
マニラ麻はパルプや紙の原料として使われている天然繊維である。自動車産業では、天然繊維を充填材や内装に使っているが、今後、グラスファイバーの複合素材に使うことが進められており、天然繊維の需要が高まってくると予想される。そこで、マニラ麻の持続的生産のためのプロジェクトを実施し、組織培養技術を使い数多くの実生を生産する技術開発、生態系の多様性に配慮したココナッツや樹木との混合栽培の開発小型の 繊維剥離機械を開発し、現地に持ち込むことにより、廃棄物を有機肥料として利用する体系の確立などを行っている。
1-4.「インドネシアにおけるケナフ繊維ボード産業と廃棄バイオマス」Sudjindro(インドネシア)
インドネシアでは、ケナフは、東アジアの天水地帯と洪水地帯と、東カリマンタンの沖積地帯と泥炭地帯で栽培されており、ケナフ生産量は1.7-2t/haである。ケナフ繊維工場は東ジャワにあり2002年から操業しており3000t/年の繊維から繊維ボードを作っている。生産物ケナフ繊維1に対して廃棄物の葉と繊維を剥離した後の茎の中心部は各3と10の割合で排出される。廃棄物である葉は堆肥と家畜飼料に利用され、茎の中心部と廃棄繊維は堆肥に利用される。繊維採取のためケナフを浸した水は肥料に利用される。
1-5.「中国におけるバイオマスエネルギー利用の展望」Li Xin Zhao(中国)
中国のバイオマスエネルギー利用は全エネルギー消費の14%であり、家庭用バイオガスダイジェスターは1500万世帯で使われ、大中規模バイオガス工場は2,671箇所あり、48万世帯に供給されている。バイオマス発電はサトウキビ残渣を主として2000MWを発電している。バイオマス由来のエタノールは102万t、バイオディーゼルは3.8〜6万t生産されており、2020年までそれぞれ800万t、1000万tに増産する計画である。課題として、バイオマス利用におけるコスト高と補助・減税政策、ガス化におけるタールや排出液などの技術的問題の解決、原料生産向上がある。
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Ses.2 持続可能な農業とバイオマス有効利用-ケーススタディU----/yosioka
司会:白井(九州工大).このセッションは持続可能な農業への事例研究について、マレーシア・韓国・日本3件を紹介する。
2-1. 「パーム油産業の持続可能性−挑戦と機会−」Mavath Ramachandran Nair(マレーシア)
マレーシアのパームオイル産業の現状と,新しい挑戦としてのバイオマス利用について紹介。マレーシアでは,2004年に388万haの土地がオイルパーム栽培に利用されており,1398万tのパームオイルが生産された。マレーシアのパームオイル産業は,国内的にも世界的にも重要であり,世界の生産高の50%,貿易取扱量の60%を占め,その額は79億$であった(2004年)。新たに,パームオイルからのバイオディーゼル製造を検討している。また,果実収穫時やオイル生産時に発生する残渣をマテリアルやエネルギーとして利用することも検討している。
2-2.「韓国における食品廃棄物リサイクルの現状と課題」Dong-Hoon Lee(韓国)
韓国では,11464t/日発生する食品廃棄物の81.3%がリサイクルされた(2004年)。しかしその需要が限られていること,安全性が確かではないことが問題となっている。食習慣を見直し,分別収集を徹底する政策の推進により,発生量そのものは減少の傾向にある。2005年時点でリサイクル施設は国内に261箇所あるが,うち8割以上が飼料や堆肥を製造するものである。嫌気性消化による施設はまだ少ないが,将来有望な技術として期待されている。
2-3.「千葉県北東部におけるバイオマスのカスケード利用システムの実証研究」Yoshito Yuyama(日本)
農林水産省のプロジェクト研究「農林水産バイオリサイクル」において,平成16〜18年度の3ヶ年計画で進めている「千葉県北東部におけるバイオマス多段階利用システムの構築及び実証」の概要に関する紹介。家畜排泄物や食品廃棄物をメタン発酵させてバイオガスを発生させ,木質バイオマスの炭化やバイオマス輸送用車両の燃料とするとともに,発酵による消化液を液肥に変換する総合的なシステムに関する調査研究に,多くの研究機関,企業,自治体と連携して取り組んでいる。
2-4.「バイオマス利用による地域発展−バイオマスとしての食品廃棄物のリサイクル」Mamoru Kuwabara(日本)
埼玉県小川町を拠点に活動しているNPO法人の取組の紹介。町内に存在するバイオマスの96%が木質バイオマスであるが,まずは地域の住民がバイオマスに関心を持ってもらうことを目的として,生ゴミの再資源化を開始する。町内では有機農業が盛んであるため,バイオガス液肥を活用する点に着目。地場産バイオガスシステムは生ゴミ平均投入量100 kg/日で建設費用は165万円。従来の処理費用32円/kgに対して12円/kgで処理でき,この差額を地域通貨として住民へ還元。3000円/世帯・年分の地域通貨が還元される。現在、100世帯がこの取組に参加している。
2-5.「バイオマスリファイナリーシステム−沖縄県宮古島における研究プロジェクト」Yoshiyuki Shinogi(日本)
宮古島の主要産業である農業で発生するバイオマスの有効利用について。システムは,家畜排泄物をメタン発酵させることによりバイオガスを発生させる装置,バガスの熱分解プラント,汚泥の熱分解プラント,堆肥化施設から構成される。バイオマスのリサイクルシステムを評価するために,地理情報システム(GIS)やライフサイクルアセスメント(LCA)を活用する。バイオマスシステムの環境負荷をモニタリングするために,宮古島,沖縄本島,本州にある大学,農業試験場,プラントなどをネットワーク化する計画がある。
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Ses.3 持続可能な農業とバイオマス有効利用-実用技術序論-------/sano
"Sustainable agriculture and effective utilization of biomass - Introduction
of practical technologies"
司会:佐野(地エネ).このセッションは主に実用技術の紹介で、政策を一部含む。
3-1. モミガラ火力発電、タイ
"Experience of Rice Husk Power Plant in Thailand" Pornsak Porchandham(Roiet Green Co.Ltd.)
タイでは、薪・ワラ・モミガラ・バガス・廃材・パーム,椰子がら・畜糞尿・農業廃棄物などが主なバイオマス資源である。1995年にNEPO(国立エネルギー政策局)が廃棄物発電調査を行い、モミガラ発電が浮上した。現在タイの発電は天然ガス火力が7割を占めるが、再生可能資源への転換が望ましい。農業国タイでのモミガラ発電の利点は、精米所に集中排出で得られることである。不利な点は産出季節が偏り、天候により燃料品質が変動することである。備蓄は空隙多く高コストになる。石炭より灰分が多く、その用途や廃棄に課題。
3-2. バイオトイレ、畜糞尿処理、日本
"Development of Bio-toilet for Cattle Manure -A New Manure Decomposer-Extinguisher
System Using Sawdust as an Artificial soil matrix" M.Terasawa(Hokkaido Univ.)
オガ屑を人工土壌媒体として使うバイオトイレを、畜糞尿処理に使う。24m3ほどのオガ屑で、1t/日ほどの糞尿を処理して60日間使用できる。無臭に運転するには通気で好気条件を保つことが必要である。初期には有機酸の生成により、後期には硝酸化によりアンモニア悪臭を防止できる。
3-3. 高効率メタン発酵、残渣液、電解酸化、日本
"Cost-effective and High-performance Methane fermentation Sustem"
T.Maekawa、S.Simada、Y.Kitamura、K..Intabon、T.Yasuda(Univ.Tukuba)
2相メタン発酵としたあと、まだ汚濁物質を多量に含む消化残渣液を低周波電解(15分)、さらに高周波電解(30分)にかけて沈降槽へ送ることにより高度の脱窒、脱リンが可能になった。設置面積・施設とも大幅に削減できる。
3-4. バイオマスエネルギープラン、台湾
"Present plans of Biomass energy development anad Utilization"
En-Jang Sun(National Taiwan Univ.)
台湾には2万haもの休耕地があり、その一部をエネルギー作物に使う。エタノール用とBDF用とを検討した。
エタノール向けには、ソルガム・サトウキビ・甘藷(将来にはワラ、竹、木質)を、
BDF向けには大豆・ヒマワリ・菜種を、 候補としてその年産量、収量/ha年、コスト/L、の比較をしている。
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Ses.4 持続可能農業の視点とバイオマス政策、各国T------/matumura
"Viewpoints of sustainable agriculture reflected in biomass policies
of various countries and economics"
司会:松村(広島大)このセッションは、政策担当のセッションの最初のものであり、インドネシア、マレーシア、ベトナムの各国から、各国の状況について説明があった。以下に順に概要を紹介する。
4-1 バイオマス資源、開発の機会と挑戦、インドネシア
"Utilization of biomass sources in Indonesia: Challenges and opportunity
for the development", Petrus Panaka (Indonesia)
インドネシアにおいては、2004年にGreen Energy Policyを開始し、エネルギー生産における再生可能エネルギー利用を最適化する方針が掲げられている。この中でバイオマスは重要な位置づけであり、林業、穀物残渣、農業残渣、都市廃棄物などが対象となる。特に、パーム油産業の廃棄物である空果房(EFB)、殻、繊維などが量的にも期待される。さらに、近年、パーム油やジャトロファからのバイオディーゼルの生産が行われ、2006年には60,000 kLのエタノールプラントが計画されている。
4-2 新バイオプロジェクト、マレーシア
"Utilizatin of biomass for new bioproject", Mohamad Ali Hassan (Malaysia)
マレーシアにおいてはパーム油と木材産業において、熱ならびに電力利用の形でバイオマスは広く用いられている。ここでは主にパーム油関連のバイオマスについて議論。問題点としては、適切な技術の欠如、安価な売電価格、安価な再生可能エネルギー購入契約、財政上の助成の欠如が挙げられる。いくつかの新規技術の試験には成功しているものの、パイロットプラントならびに小規模の適用に限られている。製品の利用としてはバイオガスのエネルギー利用、有機酸の産業利用、原料利用、生分解性プラスチック、コンポストが用いられている。CDMの有効利用を唱う。
4-3 バイオマス利用の政策と実際、ベトナム
"Policy and actual situation on biomass utilization in Vietnam",
Truong Nam Hai (Vietnam)
ベトナムでは農業が盛んであり、バイオマス資源量は多いが、十分な利用はなされていない。米関係がポテンシャルとしては最大。現在、ベトナムではバイオマス利用は家庭での調理、暖房、給湯に利用されており、これが全体の90%を締める。近年サトウキビ産業でのバイオマス利用を伸びている。しかしながら、近代的な利用は進められておらず、伝統的なバイオマス利用から近代的な利用への転換を行う方策が進められ、例えば家庭でのバイオガス利用を促進している。持続可能な農業の推進もバイオマスの観点から重要と考えており、政策的、経済的、技術的な取り組みを進めている。まだCDMまでは考えていない。
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Ses.5 持続可能農業の視点とバイオマス政策、各国U------/minowa
"Viewpoints of sustainable agriculture reflected in biomass policies
of various countries and economics"U
司会:美濃輪(産総研)このセッションは、政策担当のセッションの第二番目であり、タイ、フィリピン、台湾から、各国の状況について説明があった。
5-1. “New Development in Bio-fuels and Ethanol
Industry in Thailand:タイにおけるバイオ燃料およびエタノール産業の開発”Paritud Bhandhubanyong(the National Metal and Materials Technology Center (MTEC) , the
National Science and Technology Development Agency (NSTDA), Ministry of Science
and Technology (MOST)(科学技術省国立科学技術開発庁物質技術研究所)
タイではバイオエタノールの導入が行われており、アジアの成功事例である。背景、歴史、将来の報告があった。タイにおいては石油価格の高騰、需要の伸びの背景があり、バイオ燃料の取り組みが始まった。ターゲット量を策定し、政策担当者および関係者(工業、農業)による委員会が取組みをリードした。また、いわゆる王様プロジェクトで技術の検討を行い、徐々に導入を進めた。現在では500ヶ所近くのガソリンスタンドでGasohol 95(エタノール5%混合ガソリン)を販売している。また、バイオディーゼルの検討も開始している。
課題としては原料バイオマスと製品エタノール燃料との価格差が指摘され、より安価なバイオマス原料や変換技術の開発が必要である。質疑応答でもこの点が指摘され、例えばモラセスは4バーツ/L(糖濃度が約半分)糖価格としては8バーツ/Lである旨の指摘があった。農業の視点からは、農業者の仕事の確保、農産物価格の安定化(収入安定化)に寄与でき、持続可能な農業に貢献すると考えられる。
5-2“Policy and Actual Situation on Biomass Utilization in the Philippines:バイオマス利活用の政策と実際"Jessie Cansanay Elauria(Institute of Agricultural Engineering, College of Engineering and
Agro-Industrial Technology, University of the Philippines Los Banos(フィリピンLos Banos大学農工技術研究科農業工学学部)
フィリピンにおけるエネルギー政策ではセキュリティーと電力が中心であり、島国なので農村への電力供給が重要な課題になる。再生可能エネルギーには風力発電が重要。バイオマスはもともと主要なエネルギー源であり、統計に表れない量も多く、薪炭が主要である。利用システムとしては、直接燃焼での熱利用、発電(家庭用や産業用)、ガス化、バイオガス、アルコールを検討している。グリッドに接続しない発電利用が検討されている。バイオガス利用は自分達で作成が可能な発酵方法が行われており、施設数も増加している。アルコール生産は農村レベルでの小規模な生産が検討されている。政策的な支援には政府調達がある。 報告は一般的な概観であったが、フィリピンは島国であり、ローカルでの独立した利用が重要である点が認識された。
農業の視点からは、地域農村での小規模な利用が重要であり、グリッドでない農村電化が重要政策となっている。持続可能な農業として農村での生活向上がまず重要であると考えられる。
5-3. “Potential Biodiesel Markets and the Related Supporting Policies of Taiwan:台湾におけるバイオディーゼル市場の可能性と支援政策” Tzay-An Shiau(Department of Harbor
and River Engineering, National Taiwan Ocean University(国立台湾海洋大学港湾河川技術学部)
台湾では軽油の需要が増加しており、それをバイオディーゼルで代替すれば膨大な需要ポテンシャルがある。供給については、農地転作の可能面積から計算されB5(バイオディーゼル5%混合軽油)であれば供給できる。報告ではまず2万haの農地利用を図るとのことであったが、質疑でも供給量が不足するとの指摘がなされた。一方、アジア地域(東アジア、東南アジア)での協力で原料植物油の輸出入のコンセプトが提案された。バイオディーゼル生産に関係する政策は、エネルギー、環境、農業に別れており、一体感を持った政策展開が必要である。 需要に対して十分な供給面積を持たないという点では日本と同様であり、バイオエネルギーのトレードのコンセプトは我が国においても重要であろうと考えられる。
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Ses.6 持続可能農業の視点とバイオマス政策、各国V------
"Viewpoints of sustainable agriculture reflected in biomass policies
of various countries and economics"V
司会:山本(電中研)このセッションは、政策担当のセッションの第三番目であり、中国、韓国、の状況について説明があり、日本の関連状況についても報告された。
6-1. バイオ燃料の開発、国際協力、中国
6-2. 持続可能農業、カノラの選択、韓国
6-3. バイオマス・ニッポン戦略
6-4. "Research Project for ASEAN Biomass Strategy and Short Summary
on the Second Biomass Asia Workshop in Bangkok in 2005."第2回バイオマス・アジアワークショップの概要"
Kinya Sakanishi(産総研AIST, Japan)
ASEANバイオマス戦略研究プロジェクトの紹介と、2005年12月13-15にバンコクで実施された、ASEANバイオマス戦略のサマリーが報告された。
ASEANバイオマスR&D戦略は、JST(日本科学技術振興機構)の資金で実施されるもので、2004年に開始された。21世紀のエネルギー環境問題は、エネルギー、環境、食料のトリレンマである。農学と工学の連携による、バイオマス利用が鍵になる。特にアジアのバイオマス資源量は大きい。また、バイオマス・廃棄物関係の特許出願件数は、日本がEU、米国を圧している。アジアと日本のWIN/WINコラボレーションにより、バイオマス利用を推進する。特に液体燃料製造、CO2削減、マテリアル利用を重視する。ASEANバイオマスコンソーシアム(日本側)は、JIRCAS、NARO、NIRE、FFPRI、NFRI、University of Tokyo、RITE、AISTで構成される。会議参加者は430人であった。
パネル1(持続可能なバイオマス生産)では、米、サトウキビ、キャッサバ、パームの重要性、収集、貯蔵、経済性の問題、が指摘された。バイオマスの利用は、貧困層の救済になり、持続可能な社会を形成する。アジアバイオマスコンソーシアムを結成する。
パネル2(自動車燃料)では、ベトナムが、ガソホール、バイオディーゼルに注目していること。中国のE10とバイオディーゼルの導入政策。エタノール生産能力1,020,000
tpy、セルロースからのエタノール生産パイロットプラントの設置が説明された。フィリピンでもエタノール、バイオディーゼルのプラントがスタートした。
パネル3(林産資源)では、農地における木の栽培(Tree in Farm)、木の成長速度やバイオリファイナリーの重要性が指摘された。
パネル4(今後のバイオエネルギー)では、バイオマス液体燃料の技術開発、トータルシステムシミュレーション、持続可能性、の重要性が指摘された。
パネル5(バイオマス利活用)では、ライスハスク等の未利用資源を高効率で利用することの重要性が指摘された。
パネル6(バイオマス利活用のLCA評価)では、LCAの重要性、アジアにおけるLCA検討例の少なさ、CO2以外も含めた包括的なLCA、生物多様性を含めた検討、の重要性が指摘された。
今後は、水熱反応による前処理、BDF、BTL等の液体燃料生産、バイオプラスチック生産を重視する。
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パネル討論:持続可能農業とアジア・バイオマスネットワーク/matumura
コーディネータ:Akinori Noguchi
(Japan)
パネリスト:Dehua Liu (China)、Petrus Panaka
(Indonesia)、En-Jang Sun
(Chinese Taipei)、Jin-Suk Lee
(Korea)、Lam Vo (Vietnam)、Pornsak
Pornchanadham (Thailand)、Mavath
Ramachandran Nair (Malaysia)、Roberto Carino
Guarte (Philippines)、Kinya Sakanishi
(Japan)、Yukihiko Matsumura
(Japan)
持続可能な農業とアジアのバイオマスネットワークについて議論を行い、前者については、
1. そこそこでも安価な既存技術を用いた初期の導入、
2. 持続可能性を前面に出して先進国との賃金格差を最大限に利用して発展の足がかりとする戦略、
3. 生産のみに目を向けるのではなく、利用・販売までのシステムを構築することの重要性、
4. 適切な技術の開発と導入の促進、という可能性を確認。
後者については、アジアのバイオマスに関する東京宣言を採択、バイオマス・アジア協会の構成と今後の活動を準備する準備委員会を各国から1名ずつのメンバーで構成した。以下に行われた議論の大まかな流れを示す。
Noguchi 開会の宣言とパネリストの紹介。その上で、これまでのフォーラムを整理して持続可能な農業についての議論への導入。
Lam Vo 小規模な農家でも利用できる適切な技術が求められ、この意味で従来技術の改良が必要。特に安価で実際に適用できる技術が必要。
Guarte アバッカの例を挙げ、新しい産業への高度利用が一つの方向性であることを示す。持続可能な生産による繊維などのマテリアルを付加価値を付けて販売する可能性。
Ramachandran
Nair 政策も含めたバイオマスに基づいた経済の実現が必要。単純なシステムで経済的補助が求められる。
Pornchanadham もみがら発電でも灰の問題などがあることを指摘し、生活水準の向上、技術開発の継続が必要と。
Noguchi 以上を整理して、持続可能な農業とバイオマスの観点から事例を整理し、成功のための可能性をピックアップすると、1. そこそこでも安価な既存技術を用いた初期の導入、2. 持続可能性を前面に出して先進国との賃金格差を最大限に利用して発展の足がかりとする戦略、3. 生産のみに目を向けるのではなく、利用・販売までのシステムを構築することの重要性、4. 適切な技術の開発と導入の促進、という可能性が確認できることを指摘。
パネル&聴衆:自由貿易と公正な貿易は違う、安全性は重要などの意見が出される。
Noguchi 今回のフォーラムと相補的にタイでWGが開催されていることを説明、こちらの結果も踏まえて議論を進めたい。
Sakanishi 第2回WSの要約の報告。ワークショップは政府や会社を中心とする国際協力、フォーラムは地域社会間の協力であり、そのどちらも重要である。
Noguchi 東京宣言案の紹介
Panaka バイオマスを有効利用することは重要。戦略を持つべきであり、この観点からも東京宣言案は良くできている。
Sun Win-win の関係を作り出していくことが重要であり、この観点からも東京宣言を認識することは有効。
Noguchi フォーラムとして宣言を承認したい旨を会場にはかる//東京宣言が承認される。
Noguchi 東京宣言承認について感謝。
Matsumura 持続可能なバイオマスアジア協議会の提案。予算やプロジェクトベースではない活動母体を置くことを提案。今回フォーラムの政策・ネットワークとしての招待講演者に横山有識者委員会委員長を代表として準備委員会を構成いただく案。
Lee 喜んで協議会準備委員会メンバーとして協力する。
Liu 横山委員長はSETAのプログラムでもよく知っており、代表として適任。是非進めたい。
Noguchi 持続可能なバイオマスアジア協議会の準備委員会を置くことについて会場にはかる//協議会準備委員会について会場の賛成を得る。
Noguchi 活発な議論についての謝辞と終了宣言。--------------------------------------------------
ポスター(A1〜7、R1〜15、B1〜2〜11?)
--------------Activity------------------------------/yosioka
A1「粘土を触媒とするバイオマスの流動接触分解ガス化技術の開発−アジアにおける分散型エネルギー供給のための革新的かつ適正な技術の普及をめざして」特定非営利活動法人APEX
アジア地域で広く普及可能なバイオマスのエネルギー利用技術を開発することをめざして,粘土を流動媒体/触媒とするバイオマスの流動接触分解ガス化技術の開発に取り組む。この技術では粘土の吸着/触媒作用により,タールの生成をともなうことなく,バイオマスを効率的にガス化することができる。アジア各地で容易に入手できる素材を用い,設備内容も極力単純化し,適度に人的要素を導入、などにより,先進国で開発されている技術と比べて,およそ1/10以下の低コストで設置することができた。
A2「エネルギーの懐かしい未来−雲南農村再生可能エネルギー推進プロジェクト」自然エネルギー推進市民フォーラム
中国のNGO雲南エコネットワークとの共同によるバイオガス利用計画は2005年9月に開始した。この計画は古くて新しい天然のエネルギー資源の利用により,中国雲南省の生態環境,衛生,女性の労働条件,&生活の質の改善に焦点を当てている。このモデルは他の開発途上国にも適用可能であり,CDMへの応用の可能性について検討した。
A3「フィリピンにおける生計向上プロジェクトと結びついたバイオガストイレ普及事業」特定非営利活動法人京都サマール友好協会
フィリピンでも最貧の島の一つと言われるサマール島において,劣悪な衛生状態を改善するために,バイオガスを利用した公衆トイレ設置事業をすすめている。具体的には,公衆トイレの後ろに豚小屋を併設し,それらの糞尿を全てバイオガスプラントに投入する。トイレに隣接して,ホール・台所を作り,そこで周辺住民らがバイオガスを利用して炊事をする。現在、2ヶ所で事業が順調に進んでおり,今後,プラントからの液肥の農業利用を目指したい。
A4「バイオマス利活用で築く資源循環型社会」地域資源循環技術センター(JARUS)
資源循環型社会の構築をめざすため,バイオマスを利活用するにあたっての計画策定やその手法,また,これに係る社団法人地域資源循環技術センター(JARUS)の役割等について解説した。
A5「アジアのバイオマス利用ネットワーク−SETA Program ActivityとSABREN Network」松村幸彦ら(広島大学)
SETA Programは中国,日本,スイスの研究者の協力によりスタートし,中国のエネルギーシステムへのバイオ燃料の導入,とりわけ中国での液体燃料生産に重点を置いて活動してきた。このプログラムは,その活動のネットワークをアジアのバイオマス社会に拡大することを決め,その達成のためにSABREN Networkが作られた。2005年12月末現在102名のメンバーで構成され,今回のフォーラムでMLへの参加を呼びかけた。
A6「オイルパーム繊維の有効利用」田中良平(国際農林水産研究センター)
オイルパームは東南アジアにおいて最も重要な植物のひとつである。オイルを生産した後の繊維質や木質部などの残渣は,その資源量の豊富さや再生可能な材料であるにもかかわらず,これまで利用されてこなかった。これらの残渣から,化学的な技術・方法を用いてパルプや紙,ファインケミカルなどの原材料を生産する技術の開発を目指すセンターの取り組みが紹介された。
A7「ベトナム・メコンデルタの小規模養豚農家用のプラスチックバイオガス消化槽」Vo Lamら(ベトナム・カントー大学)
プラスチックバイオガス消化槽(PBD)は,1基が40〜47米ドルと安価で設置可能であり,調理用のバイオガスを供給するとともに悪臭や水質汚染を緩和することができる。これを小規模養豚農家に導入し,そのメリットを実証し,技術的な問題点を洗い出すための試験を行った。使用者は,技術者のアドバイスがあれば時折発生する技術的なトラブルに対処することができた。技術者の教育もPBDの普及には必要と考えられた。
A8「社団法人日本有機資源協会(JORA)と有機性資源循環利用アジアネットワーク(ANOR)の活動」社団法人日本有機資源協会(JORA)
日本有機資源協会の取り組み,そして有機性資源循環利用アジアネットワーク(ANOR)について紹介された。ANORはアジア14カ国の28の組織により構成されるバイオマス情報ネットワークである。
--------------Research------------------------/yosioka
R1「籾がら燃焼による発電と高品質ケイ酸灰生産」伊藤純雄ら(独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構中央農業総合研究センター)
籾がらは世界で1億t/年生産される乾燥バイオマスであるが,エネルギー密度が低く,ケイ酸質の灰を20%含んでいるためクリンカーが出来やすく,完全燃焼させることが難しく,灰の処分が困難なことが原因して,有効利用が進んでいない。低温で燃焼させる「空気吹き込み式撹拌流動層燃焼」を利用することによって,クリンカーを生じさせることなく,籾がらを完全燃焼させてエネルギーを利用するとともに,肥料および工業原料として価値のある高純度・高反応性のケイ酸質灰を生産することができる。
R2「バイオマス活用のためのサタケオープントップダウンドラフト方式ガス化発電」渡辺健吾ら(株式会社サタケ)
株式会社サタケがインドの研究機関(バンガロール)と共同で開発したオープントップガス化システムについて紹介。この技術は木材やココナッツの殻も利用でき,少量が広く分散しているため回収が難しいバイオマスの利用に適している。このプラントは1987年以来,インド,スイス,南米などで20以上が稼動しており,その規模は発電(20 kWから1,000kW)だけでなく,熱利用のプラントもある。
R3「農林バイオマス1号機」小林真ら(畜産草地研究所)
バイオマスガス化メタノール合成試験装置「農林バイオマス1号機」についての概要説明と,広範な植物由来バイオマスに対する利用可能性が示された。多収性飼料作物の乾物収量とメタノール収率に基づき,バイオマス利用する可能性と問題点を議論した。
R4「農林バイオマス2号機」田中章浩ら(九州沖縄農業研究センター)
バイオマスの多段階ガス化コジェネレーションシステム試験装置「農林バイオマス2号機」についての概要が説明された。家畜ふん尿をガス化して高効率な発電を行うとともに,廃熱を用いた食品残さの乾燥処理により飼料を生産し,焼却灰をリン酸肥料に利用するなど,バイオマスを総合的に有効利用するシステムである。
R5「農林バイオマス3号機」坂井正康ら(長崎総合科学大学)
小型可搬式・低コスト高効率を目指した植物系バイオマスの新しい熱・電エネルギー供給システム「農林バイオマス3号機」についての概要が説明された。このシステムの特徴は,高カロリーでクリーンなガス燃料へ変換し,小規模でも高い電力を発生するといった,これまでにない新しいガス化発電方式にある。
R6「使用済み食用油のバイオディーゼルへの変換」Kyu-Wan Leeら(Yanbian University of Science and Technology)
中国においては,再生可能エネルギーの開発はエネルギー安全保障の観点から原動力になる。廃棄物であるため安価な原料として期待できる使用済み食用油のバイオディーゼルへの変換方法として,2種類のエステル交換を検討した。
R7「エネルギー作物の機械化生産技術の体系化」澁谷幸憲ら(東北農業研究センター)
地域内または,個別農家規模で利用される農耕用エネルギーの自家生産をめざし,エネルギー作物(ナタネ)の播種から収穫,乾燥,調製,搾油,精製,バイオディーゼル燃料化までの作業を体系的に行い,作業精度・能率等を把握した。
R8「CDMプロジェクトとしてのバイオディーゼル生産計画」サンケァフューエルス株式会社
タイ北東部においてヒマワリをエネルギー作物として栽培し,収穫した種子に含まれる油を原料としたバイオディーゼル生産計画に関する紹介。ヒマワリは未利用の土地や耕地において,契約農家により栽培される(100 haでの栽培が計画されている)。収穫後の残渣は有機肥料としてリサイクルされる。プラントの生産能力は15,000t/年であり,これにより削減される二酸化炭素の量はCDMとして活用する予定である。
R9「北海道十勝地域における畑作物多段階利用」小田有二(北海道農業研究センター)
北海道十勝地域における未利用作物や農業副産物のカスケード利用について。デンプンの酵素加水分解により規格外の小麦からタンパク質を分離し,調味料の製造に使われる。可溶化された糖からエタノールが製造され,ガソリンに混ぜられる。サトウダイコンの残渣ビートパルプからセラミドを分離・生成し,化粧品や栄養補助食品の原料となる。ジャガイモパルプから分離される可溶性多糖類は穀物食品の固着防止剤として商業化される予定である。
R10「エタノール発酵の前処理のためのリグノセルロースの熱水前処理」松村幸彦ら(広島大学)
酸を必要としない条件下でのリグノセルロースバイオマスの熱水前処理を検討した。キャベツをモデル試料としてオートクレーブ内で熱水前処理を行った。熱水処理は水のみを必要とするため,アジア諸国で発生する農業廃棄物を効率よくエタノールへ変換する技術に応用されることが期待される。キャサバパルプ、EFBも。
R11「籾がらの発酵による肥料化」石井一行(株式会社アイオム)
簡易な方法で高速に発酵分解する方法により,廃棄物であった籾がらを優良な肥料として一ヶ月で製品化した。出来上がった肥料は,発酵による微生物の働きで土壌改善効果に優れ,木質系資源を原料としているため耕作地に投入しすぎても土が傷むといったデメリットもなく,なおかつ籾がら由来のケイ酸を多く含むため病害虫に強く,良質の米,野菜を栽培することができる。
R12「乳牛排泄物からの生物学的水素製造」横山浩ら(畜産草地研究所)
水素発酵法を用いた,乳牛廃棄物スラリーからの水素製造の可能性を検討した。水素製造バクテリアを用いて,37度,50度,55度,60度の嫌気的な条件のバッチ実験により13.4 g VS/Lのスラリーを分析に用いたところ,それぞれ13,38,321,396 ml/Lの水素を製造できた。主な副産物は酢酸塩であった。スラリーを培養の簡便法により,乳牛排泄物から水素を製造した。
R13「家畜糞尿用バイオトイレの開発」寺沢実ら(北海道大学)
家畜糞尿用バイオトイレシステムのうち,家畜糞尿発酵装置(LMF)に関する紹介。1t/日の乳牛の糞尿が,60日間LMFシステムにおいて処理される。24 m3のオガクズが入っており,全部で60トンの糞尿が,悪臭を出すことなく分解され消滅した。窒素,リン,カリウムなどの養分が土壌改良剤として活用できる。
R14「微生物燃料電池による乳牛排泄物からの発電」石田三佳ら(畜産草地研究所)
微生物燃料電池(MFC)とは,有機物を分解することにより発電を行う簡易な装置である。本研究は,乳牛排泄物スラリーからMFCにより発電を行うことの可能性を検討した。1g COD/Lのスラリーから,最大15 mVの発電ができた。MFC処理によりBODが除去される一方で,窒素,リン,カリウムはスラリー中に保持されていることから,液肥として好ましい状態になった。
R15「フミン酸除去のためのオカラ由来吸着剤の創製」中村武夫ら(近畿大学)
オカラを原料として炭素質の材料を製造し,これを用いてトリハロメタン除去の前駆物質としてのフミン酸の性質に関する基礎的な検討を行った。炭酸カリウムを混ぜたオカラから製造された炭素質材料は,商業的に入手可能な活性炭よりも,フミン酸除去の面では優れていた。
--------------Biomass Nippon--------------------/yosioka
B1「バイオマス資源のガス化による新しいエネルギー利用の取組」亀山光男(株式会社日本計画機構)
ガス化技術により,木質バイオマスや農業バイオマスから水素を製造する実験モデルを検討した。このガス化技術はBLUEタワーと呼ばれ,水素を製造可能である。日本の農村地域を対象としたものとマレーシアのオイルパーム廃材を対象とした2つのモデルについて報告があった。
B2-B11「バイオマスニッポン総合戦略」農林水産省環境政策課資源循環室
2002年12月に閣議決定された「バイオマス総合戦略」についての概要説明。未利用バイオマスを価値ある資源として有効利用するための日本で初めての国家戦略であり,様々な分野・視点に立った総合的な取り組みが紹介された。


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