木質バイオマス利用研究会第3回公開シンポジウム('01./2/19)◆

「木質バイオマスのエネルギ-利用を考える」〜森林燃料と林業をめぐる課題〜

[主催] 木質バイオマス利用研究会、(社)国土緑化推進機構
[会場] JAホール(JAビル9F/東京)
[主たる講師] Dr.PENTTI Hakkila(ペンティ・ハッキラ博士:テクニカル・リサ-チ・オブ・フィンランド(VTT)エネルギ-部門木質エネルギ-技術プログラム研究部長,前フィンランド森林研究所(FFRI)教授
[報告作成者] 吉岡拓如
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開会挨拶:熊崎實氏(木質バイオマス利用研究会代表,岐阜県森林文化アカデミ-開学準備委員長)
[メモ]・1998年の林野庁の報告書において,木質バイオマスのエネルギー利用について触れられた(公式の文書としては初めて)。
木質バイオマス利用研究会は,
 1・2年目にスウェ-デンの調査,国内外の専門家を招いてシンポジウムを行った。
 3年目は,森林バイオマス(林地残材が中心と思われる)にターゲットを絞った。
・オイルショック時の対策: アメリカ…電力買取法(1978年)/北欧…助成策, 
 熱需要に/ 日本…バイオマスからの電気を売れない=異常
・山に溢れるバイオマス(林野庁でもどうにもならない)や剪定枝・建築廃材(野焼きの禁止)をエネルギー利用する時が必ず来る。
 →★問題は,どうやって集めるか?  日本にはその経験が乏しく,
 今回ハッキラ博士を招待したのもその目的である。
・北欧でも,初めはバイオマスの値段が高かった。しかし,
 10年程度の期間を掛けてシステム化を図り,顕著に安くなってきている。
・散らばったバイオマスをどのようにして集めるかに,日本における
 バイオエネルギー導入の可否がかかっている。
・バイオマスをエネルギー利用することで,日本の森林をよくすることが目的。
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   第1部[基調講演]"Use of Forest Residues for Fuel"〜The Finnish Experience〜「北欧における森林燃料生産の現在と未来」〜林業と森林燃料,エネルギ-〜
講師: ペンティ・ハッキラ博士
[メモ]
VTT紹介…エネルギ-研究機関としては,ヨ-ロッパの中でも大きな組織であり, 再生可能エネルギ-に関しては最大である。
・フィンランドの森林の年間成長量は8,000万m3,年間伐採量は6,000万m3である。
参考:日本は,年間成長量7000万m3,年間伐採量3000万m3(丸太換算で2000万m3), 
      年間需要は丸太換算で,1億m3といわれる./吉岡.
・ヨ-ロッパの森林の多くは北欧にあり,○地形が平坦なので,作業が行いやすい。
・green gold…フィンランドには,森林以外に再生可能エネルギ-が存在しない。
・森林には,○レクリエ-ションや ○水資源供給などの機能があり,
エネルギ-利用は二次的なものではあるが,その重要度は増している。
・フィンランドの人口は500万人。
・1990年代は,おが屑・バーク・黒液の利用を増やすことにより,
バイオマスのシェアを伸ばしてきた。
 →今後さらに伸ばすには…森林バイオマス利用の促進(政府の考え)。
・森林バイオマスの利用による利点:  ○輸入エネルギー依存の緩和/
  雇用促進(フィンランドの失業率は都市部で10%,農村部はもっと高い)
  /○育林の改善,/○気候変化の緩和.
・年間500万m3のが利用されているが,★高価なので需要が伸びていない。
 しかし,今後の再生エネルギー利用も,木質系に頼ることになる。
・森林バイオマス利用の★問題点:チップのコスト高 / チップの質が不安定/
  供給不安定/プラントへの投資不振/ボイラーが低効率(∵チップの含水分)
・大型のプラントならば,含水率の高いものでも受け入れられる。
・バイオマスは★嵩張るので,ローカルで利用されるべき。
 輸送距離が60km以上になってはいけない(しかし,最近はだんだん延長傾向)。
・プラントを大きくするためには,バイオマスにピートや石炭を混ぜる。
・日本で進んでいる石炭燃焼技術を,フィンランドではバイオマスに応用している。
・CHP…日本では★熱需要が問題(フィンランド,デンマークでは滅需要高い)。
・バイオマスは投資コストが高い=原料を安くする必要がある。
全木集材システム…新しい方式であるが,林地からの★養分収奪の懸念がある。
・林道端に残材を積上げた後,その山を紙で覆い,乾燥させる(冬の燃料の確保)。
 →バンドリングマシンの紹介(チップのコストを ○下げることができる)。
・政策的手段:投資へ援助/利用者へ直接支援/調査研究へ支援/エネルギ-税.
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    第2部[パネルディスカッション・会場からの質疑応答]
(パネラー)ペンティ・ハッキラ博士/熊崎實氏/ 神崎康一氏(京都大学名誉 教授[森林利用学])/小島健一郎氏(木質バイオマス利用研究会事務局)
 2.1 [パネルディスカッション]
(各パネラ-簡単な講演;→ハッキラ博士がそのパネラ-に対しコメントする形式)
熊崎氏メモ]・バイオマス利用の全体像や日本の現状を把握してもらうことが目的。
神崎氏メモ(レジメA4・1枚)]
・日本各地(北海道から高知まで)各樹種に関して,全木集材システムにおける作業土場に集まった残材の重量,含水率に関して調査。うち長野県関係を報告。
・調査の結果,地形が比較的平坦な北海道や東北地方では,バイオマスの収穫可能だが,(間伐でもコスト的に見合わない現状を考慮すれば)他地方では疑問?
・森林自体をSystematicに構築しないと,バイオエネルギー利用は進まない。
・輸送トラックの燃料消費量の高さがネックになっている。
博士のコメント
・日本の方が,フィンランドよりも面積当たりバイオマス生産が多いメリットがある(博士はこれくらいしか思いつかない,と)。
・トラックの輸送距離に関しては,スウェーデンは100kmまでであり,森林バイオマスのコストのほとんどは運搬費が占めている。
小島氏メモ
・木質ペレットに関する講演;研究会事務局へのペレットに関する質問
 (=製材所の廃材,バークの使い道)が多い。
・ペレット…upgraded fuel(オガライト,ブリケットも)
 →利点:乾燥してるので貯蔵が容易/ 含水率一定/ 地域の雇用創出.
    /均質でエネルギー密度高い(輸送に有利).
 欠点:家庭で燃やすにはスト-ブが大きい/水分に弱い/灯油カロリ-より高価
・方向性としては,電気暖房や灯油ストーブの代替品として,CO2削減を図る/
 家庭だけでなく学校等でも使用されている/・温室のボイラーにも使用して。
・時間あたりの生産量が6トンというのが,標準的なプラントの規模ではないか。
・1980年代に失敗した理由…技術的・経済的な問題。
博士のコメント
・森林バイオマスは,ペレットを作るのに適さない。
→ペレットは可搬性に優れているので,トラックで作ることができれば望ましい。
・おが屑,特に家具工場で発生するものが適している(乾燥しているため)。
・ピートペレットは灰が多い。
福田氏メモ
・政策面で,北欧では手厚い助成がある。
・日本の製材時に出る端材は既に大部分使われている。saw dustを燃料に使用。
・考えられる助成策としては,森林バイオマスのエネルギー利用に半分助成する。
 →公共施設で利用する。林業の生産構造改革に寄与できることが助成の条件。
・現在は,間伐に対して半分助成している。主伐には出していない。
(博士のコメント)
・ペレットには助成していない。
・投資に対して助成する(基本的に初期投資)。
・早期間伐時に発生する燃料には助成。
・多少高価でも,公共施設では使うようにしている。
・燃焼に対して,炭素税はかからない。かつては発電に対してかけたが今は自由。

2.2 [会場からの質疑応答]
Q.森林バイオマスのエネルギ-利用により,どれぐらいの雇用を創出できるのか?
A.10%の失業率を9%にはできるかもしれないが,それ以上は難しいだろう。
Q.バイオマス利用で,CO2を何%削減できるのか?
A.EU全体では2010年までに1990年当時の8%削減。フィンランドは当時不況だったため,ゼロ%削減が義務となった。しかしフィンランドは現在'90年に比べ4%増加してしまった。 →バイオマスだけで4%削減は無理/ ロシアやノルウェーから天然ガスを買うか?/原発を新しく作るか?  CO2関係:1m3の木材…200kg-Cを含むので,750kg-CO2が発生する。生産プロセスにいくらかかかるので,700kg-CO2くらいの削減に相当するのではないか。
Q.チップのquality?
A.法的な基準はない。純度は4階級。サイズは5〜35mmがおすすめ。含水率に基づいて価格が決まる。45%(湿量基準)が標準。 →小さなプラントは,チップの質の変化に対応しにくいので,特に規模には注意を払う必要がある。
Q.バイオマス燃焼に対する法的な規制は?
A.emissionの問題(大プラントほど厳しい)。木質系バイオマスプラントは,都市ゴミを受け入れられない。針葉からダイオキシンが出るかは,不確実。
Q.CHPをencourageして行ったのか?
A.税金で木質燃料を有利に(不確実)。環境に優しい企業イメ-ジ戦略もあった。
Q.CHPでは,熱と電力のピークが違うのでは?
A.フィンランドではほぼ同じ(暖房に電力も使うため)。夏期需要低下は問題
Q.ケミカルリサイクル,炭化は?
A.エタノールの製造は利益が上がらない(唯一フランスで農業バイオマスから)。 炭も家庭内だけで製造,消費(アイルランドだけは使っている?)

Q.フィンランドのポテンシャルのうち,実際に利用できる量は?
A.30%くらいはできると思うが,結論を下せない(化石燃料の価格にもよる)。
Q.灰の散布による効果は?
A.フィンランドは,ピートや石炭との混焼なので,林地にそのまま還元は難しい。コスト高だが,将来的な観点から推奨できる。日本独自の方法を開発すべきでは?
Q.フィンランドの森林所有者はどのくらい儲けているのか? 平均サイズは?
A.チップ1m3あたり8USDが政府助成。平均サイズは40ha(植林を簡単に行える)。
Q.日本に適したシステム?
A.フィンランドでは,全ての森林へトラクタ進入可能(日本では無理)。唯一の可能性は,全木集材・バンドリングシステムでは?
 →バンドリングシステム…どんなトラクタやトラックにでも据付が可能である。
Q.フィンランドの変換技術?
A.最大規模は550MW(廃材・おが屑・バーク20%,残材30%,ピート50%)。3〜4MWが標準では? 4000軒の農家がチップを暖房用に使っている。
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[配布資料]ハッキラ博士の論文(英文)/上記論文の日本語訳/神崎氏レジメ.
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[MLからの質疑] /扱=佐野.
Q.熊崎先生のご挨拶に「山に溢れるバイオマスや〜」とありましたが、それは原生林や植林後放置された林のことを指摘しておられるのでしょうか
A.林地残材と未利用の間伐材を主にターゲットにされていると思われます。

Q.「バイオマスはローカル用。輸送距離が60km以上ダメ」というのは、平地の話と思いますが、傾斜林ではどうでしょうか? 例えば10度の傾斜では6km,とか、cosθに反比例とか
A.わが国の林地から製材工場までのトラック輸送距離は,概ね20〜80kmのようです。

Q.
スエーデンでは、森林バイオのコストのほとんどが運搬費」伐採前の、林材自体の価格はただ同然に安い、のでしょうか
A.No.全木集材方式は,丸太を生産する作業土場まで末木や枝条も一緒になって集められてくるシステム。「丸太生産」を主目的にすれば,林地からの残材の収穫コストはゼロとすることができるということ。

Q.博士コメント「森林バイオはペレット作るに適しない」とは意外。理由は
A.これも主にコストの問題(収穫が高コスト,高含水率のため乾燥必要,など)

Q.ピート(草炭)と混焼した灰を、林地還元できないのはなぜ?  ピートに  有害物が含まれているでしょうか?
A.石炭とも混焼するため,重金属が含まれているから(多分)。

Q.日本に適したシステム,として挙げられた「全木集材」は傾斜林でもいい
A.傾斜林における全木集材は,据付型の架線集材か,移動式のタワ-ヤ-ダという機械で行われる。全木集材は,林内での作業がチェーンソーによる伐倒だけで済むため,重労働作業の軽減に貢献する。また,全木集材されてきた枝付きの全木材を枝払い,玉切りするプロセッサという高能率の造材機械の普及も近年進んでいることから,熊崎Groopもこの方式に注目している模様。

Q.昨年11月,電中研の山本様が紹介された「フィンランドの森林バイオ」の セミナでも、山林収穫機械の話がありました。今回のと何か関係は
A.バンドリングマシンを動画で紹介したのが,電中研セミナ-でもあったようです。
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